グルメサイトでご飯屋さんを探すのが好き
――以前、「食べるものまで含めた1日のルーティンを決めてその通りに過ごす」とおっしゃっていたので、そういった意味では今回は解放感に満ちていたのですね(笑)。
はい(笑)。とにかく食べていました!
――劇中に登場する店員さんも、ご本人がご出演されているそうですね。そういった環境でのお芝居はいかがでしたか?
面白かったですね。お店の方には「いつも通りで」とお願いしているので、セリフに関係なく料理を出して下さるんです。そういった環境でお芝居すると、こっちの反応もリアルになるのですごく新鮮でした。
大九明子監督は、その場のハプニングもどんどんOKにしてくださる方です。焼きそばパン(第8話)を食べるシーンでは風が強かったのですが、風に吹かれているのも全部リアルな出来事です(笑)。自然体のまま、ありのままを引き出してくださいました。
――食事のシーンを含め、そういったリアルな“反応”を蓄積してくれることで、観る側も実際にそのお店に行きたくなりますね。
そうなんです。私も実際、劇中に登場するお店を調べて「あ、意外と近い。これからも通えるな」と思いましたし、他のメニューも食べたくなっちゃって(笑)。
普段はそこまで外出しないのですが、ご飯屋さんを探すのは好きでよくグルメサイトなどを見ているんです。でも今回は知らないお店ばかりで、そういった意味でも楽しかったです。
――大九監督ご自身が、もともと通っていたお店を何軒か入れていたそうですね。
おっしゃっていました。自分のベストオブご飯屋さんを入れておいたって。
――大九監督との初コラボは、いかがでしたか?
『勝手にふるえてろ』や『私をくいとめて』を観ていて、長回しで役者が動いているのをずっと撮っている独特のリズムに引き込まれると思っていたんです。実際にその世界の一員になれて、うれしかったですね。
――下町も、大九監督の特徴ですよね。
商店街もいい雰囲気でしたし、最近は都心を舞台にした作品が多かったので、この空気感もいいなぁと感じながら撮影に臨んでいました。
――広瀬さんはもともと完璧主義だったと別のインタビューでお話しされていましたが、大九監督の撮影は「ハプニングもOK」な現場です。いかがでしたか?
以前はガチガチに決めてそれ以外何もできなくなっちゃうこともあったのですが、この撮影では、大九監督が早い段階で「リアルな反応がいいんです。その表情が欲しいです」と言って下さったので、すごく楽になりました。
たとえばミキが「あ、道間違えた」と言うシーンがありますが、あれは私が本当に間違えてつい言ってしまったものです(笑)。それをそのまま使ってくださいました。
――そうだったんですね! ミキはカラフルな衣装も素敵でした。
ちょっと古着チックというか、個性的な衣装が多くてかわいかったです。
――衣装合わせのときなど、衣装から役を作っていくことはありましたか?
ありました! 帽子や靴もそうですが、柄×柄のような普段だとなかなかやらない組み合わせだったので、着ることでスイッチが入る部分はありましたね。普段は真逆で、割と真っ黒な服が多いので面白かったです。
2022.01.14(金)
文=SYO
撮影=山元茂樹