じーっと見ていたら作り方を覚えた
――料理にフィーチャーした作品であるぶん、脚本段階ではなかなか想像しきれない部分もあったのではないかと思います。
現場で完成するイメージはありましたね。もちろんセリフは覚えていくのですが、毎回ゲストの方も違いますし、セッションの中で生まれてくるものもたくさんあります。私自身も同じ役を演じていながら、毎回違う役になっている感覚がありました。ご飯を食べながら失恋話を聞いて、頭の中で色々妄想を膨らませたり、色々なことをしていたので。
ねぎ焼き(第3話)とか、じーっと見ていたらなんとなく作り方を覚えちゃって(笑)。そうやっておいしいものを目の前にしていると、演じていることを忘れてきて本当に何も考えずに「おいしい！」って食べていました。
――広瀬さんは『食べる女』(18)など食事シーンが多く出てくる作品にも多数出演していらっしゃるので魅せ方等、何かコツがあるのかなと思っていたのですが、今回はナチュラルに味わっていらっしゃったのですね。
『食べる女』は、料理にすごく意味があって、物思いにふけりながら食べるシーンが多かったんですよね。悲しみであったり、どこかネガティブな感情をまといながら食べる演技だったので、こんなにまっさらな気持ちで食べ物を楽しむというのはこれまであまりなかったこともあり、とてもうれしかったです。
もちろん失恋は客観的に見てネガティブなものだと思うのですが、食べることで元気が出たり食べている瞬間は幸せですし、実際に食べながら「食べることって大事だなあ」と実感していました。
この作品に出演させていただき、恋愛って色々な形があるなと思いましたし、食べることによって感じることも全く違う。大きな成長じゃないけど、もうちょっと頑張れるなって思える可能性を作ってくれる作品だと感じました。
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広瀬アリス(ひろせ・ありす)
1994年12月11日生まれ。静岡県出身。2008年映画『死にぞこないの青』でデビュー。最近の主な出演作にドラマ「ラジエーションハウスII～放射線科の診断レポート～」、映画『AI崩壊』、『劇場版ラジエーションハウス』(2022年4月29日公開予定)など。
ドラマ『失恋めし』
タイトル：「失恋めし」(全10話)
1月14日 Amazonプライム・ビデオにて一挙独占配信
読売テレビ7月放送予定
出演：広瀬アリス 井之脇 海 村杉蝉之介 臼田あさ美 安藤ニコ 若林拓也
原案：木丸みさき『失恋めし』(KADOKAWA刊）
脚本：今井雅子
監督：大九明子
音楽：髙野正樹
主題歌：Homecomings「アルペジオ」(ポニーキャニオン／IRORI Records)
2022.01.14(金)
文＝SYO
撮影＝山元茂樹
