夕陽で真っ赤に染まった湿原は、日本にいることを忘れる絶景!

 霧多布湿原について学んだら、いざ、湿原へ! 湿原には木道があるので徒歩で散策することもできるが、もっと自然の中に入って行くことができるカヌーツアーに参加した。

 まずは、濡れないように服の上からレンタルのカッパの上下を着て、靴を預けて長靴(サイズは予約の時に連絡済)に履き替えた。そして、地図を見ながら「LandEdge」の、あしやんさん(芦田政雄さん)の湿原の概要説明を聞く。最後にパドルを漕ぐ練習をしたら、いよいよカヌーに乗り込む。

 それぞれのカヌーの後部席にはガイドさんが同乗してくれるので、カヌーが初めてでも安心だ。自分で漕いで1人で乗ることもできるが、できればガイドさんと同乗したい。水辺で出会った動植物のことを教えてくれたり、湿原の様々なことを聞くことができるからだ。

 「水面から20センチのところで葦の色が変わっているのがわかりますか? 満潮時にはそこまで水の中なんです」と、私のガイドをしてくださったサニーさん(伊藤庸子さん)が教えてくれた。霧多布湿原は海と繋がっているため、潮の干満があるという。タンチョウもエゾシカも、サニーさんが見つけて教えてくれた。なんて楽しい!

 水面が開けた場所に出ると、太陽が地平線に近づいていた。ドラマチックに赤く染まっていく空の色。鏡のように静かな水面も同じ色で、カヌーも自分もすべて夕陽色に染まっていく。エンジンの音もなく、人工音がまったくしない静けさで、身も心も浄化されていくような気がした。

 ここでカヌーを停めてひと休み。あしやんさんが水筒を取り出した。パドルをテーブルにしてカップに注いだ温かい飲み物が配られた。ほんのり甘くてやさしい味。なんと、カエデの樹液で煮出したハーブティーなのだとか。車に戻るまで約2時間。自然の恵みをいただきながら、絶景を楽しむ、なんともぜいたくなツアー!

 取材は冬だったので湿原を覆う葦が枯れ草色をしていたが、春には鮮やかな緑になり、夏には花で覆われるという。季節毎に訪れたくなる湿原だ。

LandEdge

所在地 北海道厚岸郡浜中町後静377
電話番号 090-8631-5215
https://www.land-edge.com/
霧多布湿原カヌー 7,500円/大人1人(1人参加の場合は10,000円)

2022.01.06(木)
文・撮影=たかせ藍沙