「恋する灯台」が見守る灯台で、ラッコのカップルも恋をする?

 浜中町の海岸線には3つの岬がある。その岬を車で訪れる「岬めぐり」も人気のアクティビティのひとつだ。中でも外せないのは、霧多布岬(きりたっぷみさき)。正式には湯沸岬(とうふつみさき)というのだが、霧が多いことから霧多布岬と呼ばれるようになった。

 霧多布岬の手前には、船を模した赤と白のコントラストがかわいい湯沸岬灯台がある。この灯台は、2018年に「恋する灯台」に選ばれた。これは、日本ロマンチスト協会と日本財団が共同で実施している「恋する灯台プロジェクト」で、2021年12月現在、全国49灯台が選ばれている。北海道内5灯台のうち、最初に選ばれたのがこの湯沸岬灯台だ。

 湯沸岬灯台の先には遊歩道が続く。まずは「きりたっぷ岬」と書かれた木柱が立つ展望スポット。ここから霧多布岬を一望することができる。まるで馬の背のように幅が狭く、両側は切り立った崖になっている。

 この岬の周囲では、運がいいとラッコを見ることができるという。取材時には残念ながら遭遇できなかったけれど、沖合に浮かんでいるブイがラッコの頭にも見えて、「いた!」「やっぱり違う!」などと、ラッコがいるかもしれないというだけでかなり盛り上がったのだった。

 昆布の産地というだけあって、流されないように昆布を身体に絡めて貝を割っている姿を想像してしまった。この海で、「恋する灯台」に見守られながら、ラッコたちは恋をしているのかも知れない。

2022.01.06(木)
文・撮影=たかせ藍沙