「いろいろなお話をうかがいたいです!」と言ったら、「あんた、面白いわね」って(笑)。
――お仕事においても、人間関係でも、日々工夫していたり心がけていることはあるんでしょうか?
お友達関係でしかあまりないんですけれど、人と知り合うチャンスは、そうそう巡ってこないような気がしています。タイミングを逃してしまったら、なかなか会えない人もいると思うので、なるべく自分からお声がけするようにしています。
例えば、自分が観た作品で「ああ、この人のこういうお芝居、素晴らしかったな」と思ったとしますよね。どんなに自分が素晴らしい、感激したと思っても、どこかにその気持ちを出さなければ、自分の心の中だけで完結してしまうでしょう?
私たちがありがたいのは、それを伝えられるところにいること。もしお知り合いだったら、メールしたり、電話したりして、「あのシーンのあの顔、すっごい素敵だった!」と言えることなんですよね。私、言いたいんですよ。
――天海さんが敬愛していらっしゃる加賀まりこさんとの出会いについても、撮影所でご自身から話しかけたのが始まりだったんですよね? ご自身で切り拓いたご縁なんですね。
そうです、そうです。当時、加賀さんが雑誌で連載されていた文章が本当に面白くて、「なんて素敵なときを歩んでこられた方なんだろう……!」と感銘を受けたんです。その時代のことを聞いてみたいとずっと思っていたら、撮影所でたまたまお会いして。「あ、私ここで声をかけなかったら後悔するかもしれない!」と思ったの。
全然存じ上げないのに、「天海祐希と申します! 毎回、加賀さんのページを読ませていただいて、大好きなコーナーなんです! いろいろなお話をうかがいたいです!」と言ったら、「……あんた、面白いわね」って(笑)。そこから仲良くしていただいています。
あのとき言えなかったら、「あ、加賀さんだ」で終わっているじゃないですか。チャンスはやっぱりあるんじゃないかな、とは思います。
――逆に、天海さんも声をかけられたり、感想を言われたいと思うほうですか?
「あのお芝居、よかったよ」とかですよね。私たちはそれがお仕事だから、できて当たり前……とは言いながらも、頑張ってやっているので、言ってもらえるとすごくうれしい。
どういうことが面白かった、素敵だったと伝えてもらえると、どんなところに引っ掛かって、どんな風な視点で見てもらえているのかがわかりますし、こちらが意図したものがちゃんと伝わっていたのかも知れるし。……あとは、単純に褒められたらうれしいし(笑)。
なので、身近で素敵なことをされていらっしゃる人がいたら「素敵ですね」と口にするのは、やっぱり大事だと思いますね。
2021.12.17(金)
文=赤山恭子
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=林 智子
スタイリスト=東 知代子(ポストファウンデーション)