「くるみんは特に心がちゃんと動く人だなと思いました」(石原さん)

――石原さんから見て、10歳の稲垣さんはどんな女優さんに映りましたか?

石原 どの言葉が的確かわからないんですけど、とてもピュアだと思いました。もちろんお仕事として向き合ってはいますが、それ以前に人との触れ合いや関わりをちゃんと楽しんでいるのが素敵だなって。私とはもちろん、他の共演者の方とも普通におしゃべりするし、特に男の人に対しては相当いじるんですよ(笑)。

稲垣 クイズを出してわからないと「ええ、わかんないの〜?」って(笑)。

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石原 すごく自然体だし、れっきとしたムードメーカーで。これまでもプロフェッショナルな子役の方と何度もお仕事をしてきましたが、くるみんは特に心がちゃんと動く人だなと思いましたね。

稲垣 そうやって褒めてもらえるのがすごくうれしくて。もう、うれし涙が出てきちゃう……(と、目には大粒の涙が!)。

石原 えー! ホントに泣いちゃった! でも、先輩の俳優さんたちとお話しするの、緊張しないでしょ?

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稲垣 しないです。無意識で仲良くなれます。

石原 くるみんといると、不思議と子供と話している感覚にはならないんですよね。本当に友達と接している感覚。一緒にいて私も楽しかったです。

――稲垣さんが演じたのは、いつもみぃみぃ泣いているからみぃたんというあだ名が付けられた女の子。劇中でも泣くシーンが多く登場します。

石原 大変だなって思って見てたけど、どうしてたの?

稲垣 空き時間に監督が来て、「20分でも、30分でも、50分でも待つから、来泉ちゃんが思うみぃたんのままで演じていいよ。セリフは一応あるけど、来泉ちゃんがやりやすいように、その時の感情で言葉を発していいよ」って言ってくれて。

石原 へー! 監督、素敵! あとさ、本番の直前に「ここはこういう気持ちだよ」って説明してくれたよね。

稲垣 うん。

石原 くるみんだけでなく、私たちにもとても粘り強く付き合ってくださる方で、今回初めてご一緒させていただきましたけど、すごく信頼できる監督でした。

 泣くシーンや怒るシーンって、「何回もテイクを重ねるのはかわいそう」と思う方もいらっしゃるんです。もちろん1回本番がいい場合もありますけど、前田監督は納得いくまでテイクを重ねる方だったので、おかげでこちらの気持ちも高まるものがありました。初めて前田組とお仕事ができたことは、私にとってもいい経験でした。

稲垣 あと、前田監督は歌を作ってくれたんです。「くるくるみーたん、くるみーたん♪」って。

石原 そうそう。くるみんと監督がその歌を歌いながら、現場でずっと踊ってました(笑)。

2021.10.26(火)
文=松山 梢
撮影=釜谷洋史
ヘアメイク=中村未幸(石原さん)
スタイリング=宮澤敬子(WHITNEY) (石原さん)