美大出身のタレント、ベックさんは、常に自分が創るアート作品の題材を求める日々を送っています。
時はコロナ禍に入る前、ベックさんは、不思議の国=キルギスに興味をもち、一人旅に出ました。その顛末をエッセイに綴った第3弾。
アラコル湖を見る目的を果たし、首都ビシュケクに戻ったベックさん。旅は終盤です。
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もうひとつの旅の目的、それはハチミツ探し
キルギスの旅も最終日。早朝7時にアラコル湖のある町カラコルを出発したバスは、翌朝9時40分に首都ビシュケクに到着。夜の7時発の飛行機まで約9時間の余裕があります。
一番楽しみにしていたものを買いに街に出ました。
実は私は都内のスーパーやデパートのハチミツコーナーはもちろん、お取り寄せで地方の貴重なハチミツもチェックし購入するほどの大のハチミツ好きなのです。
キルギスがハチミツの名産地だと知った時から、この最終日がとても楽しみでした。
第一回で書いたタクシーで怖かった時も、第二回で書いた山で辛かった時も、この最終日の事を考えて頑張ってきました。
街に着くと、噂どおりまるで都内のドラッグストアのような勢いであちこちにハチミツ屋さんがあるのを発見。
その中から、最初に見つけたハチミツ屋さんに入りました。
店内にはサーティワンアイスクリームショップのようなカウンターがあり、アイスクリームの代わりに瓶に入ったハチミツがずらりと並んでいます。
店内はとても綺麗にディスプレイしてあり、表の看板にはクマのキャラクターがあって、どうやらこのハチミツ屋さんはチェーン店のようです。
店内は全てロシア語だったので、青い目のやさしそうなおばさんに話しかけておすすめを聞きました。ニコッと笑ったおばさんは色んな種類を試食させてくれました。
まず食べたのは真っ白いクリームのようなハチミツ。これは天然非加熱の生ハチミツ。高いバニラアイスみたいな、まるでデザートのような味がしました。口の中に入れると、びっくりするくらい早くなくなります。
次に食べたのは真っ黒い花粉入りのハチミツ。白いハチミツとは違って少し苦みがあり、花の香りがまるで爆弾のように口の中で弾けます。
その他にもロイヤルゼリーの入ったハチミツや山の野草のハチミツなど、ここでは20瓶も買って店を出ました。
2021.06.28(月)
文・撮影=ベック