REPOSSI
リング「ベルベル・クロマティック」

2020年からのコロナ下で、お洒落の在り方を見直したという方が多いと聞きます。
私自身の一番の変化は、今まで必ずしていたネイルをしなくなったこと。爪がナチュラルなほうが今の自分の気持ちにしっくりくるような気がして、サロンでのお手入れだけに変えたのです。
手は、常に視界に入るものなので、思いのほか心理的効果が大きい。更に、手の色って、体調によってすごく変化するものなんですよね。
ネイルがカラーレスになったことで、「今日は手が疲れて見えるな」と思う日があるのが、ちょっとした悩みなのですが、そんなとき、自分の気持ちを上げつつ、手の表情も華やいで見せてくれそうだなと一目惚れしたのがこのリングです。
今までは、ジュエリーで指に色を差したいと思ったときには、カラーストーンのリングを選んでいました。しかし、レポシの「ベルベル・クロマティック」リングで纏うカラーは、天然石では出せない不透明な色味。
私は赤いネイルが大好きなのですが、実際につけるとなると気後れしてしまうんです。
でもこのリングで指に朱赤を差せば、女性らしさが漂いつつ、手が生き生きと見える赤ネイルのような効果がある。ラッカーならではのソリッドさと、カキッと出る独特のトーンが、手をモダンに見せてくれるのです。
赤のリング以外でも、ネイビーならボーダーや黒いジャケットにも映えますし、肌の延長線上にあるヌードカラーなら、ベージュのネイルや洋服と合わせてワントーンにするとシック。
地金だけよりも、色で遊べるのが魅力だと思います。
人に会ったり、どこかへ出かけるのがままならない今、自分の気持ちは自分で上げていくしかないですよね。
ジュエリーには「心に効く」パワーがあると思います。
ふとリングを眺めたとき「ああ、綺麗ね」と心が安らぐ……着飾るためでなく、気持ちに余裕をもたらしてくれるものが、私には「素敵なジュエリー」なのです。
※記事内のPG=ピンクゴールド、BG=ブラックゴールドを表します。
伊藤美佐季(いとう みさき)
ジュエリーディレクター、スタイリスト。フィレンツェに遊学、帰国後スタイリストに。つける人の個性を生かしたスタイリングは、女性誌のほか多くの女優からも支持が厚い。著書に『そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら』(ダイヤモンド社)
Instagram @jewelryconcierge_m

Column
伊藤美佐季のSource of yourself
ジュエリーディレクターの伊藤美佐季さんが指南する、大人のためのジュエリーの選び方と、つけ方のエッセンスを連載でお届けします。
2021.06.28(月)
Text=Miwako Yuzawa
Styling=Misaki Ito
Photographs=Masahiro Sambe
CREA 2021年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。