≪VERANDA LIBRARY≫

 自然を愛する4人の読書家に聞いた、外で読みたい本。

未来の旅に想いを馳せる本

①『アウトサイダーズ―大自然を旅して生きる』

 息をのむような風景の写真を見ていると、ベランダからでも大自然に想いを馳せられそう。アウトドアシーンで活躍するブランドの価値観や環境への想いが書かれている本書は、外遊びに関心をもつ人が増えた今だからこそ読んでもらいたい。

②『ウェス・アンダーソンの風景』

 ウェス・アンダーソン監督に影響された人々によるSNS投稿写真を集めた一冊。彼の映画のワンシーンを切り取ったかのような写真や日常の一コマを閉じ込めた風景とエピソードが、旅に行けない今の時代に世界中の人との繋がりを感じさせてくれます。

③『てくてく青空登山』

 素朴な低山の思い出を綴ったエッセイ。自分の身近にある裏山を思い出し、登ってみたくなります。

●教えてくれたのは…
太田千亜美さん

代官山 蔦屋書店 旅行コンシェルジュ

野外で飲むお酒に酔いしれる本

①『春の宵』

 大切なものを失う引き金として、あるいは崩壊寸前のたましいを救う担い手として、物語のどこかに酒が登場する作品集。小さな出来事をきっかけに日常が変化してゆく物語は、どれも切実で胸に迫る。

②『海と山のオムレツ』

 こんがり焼き色がついた腸詰め、母お手製のミートボール。著者の自伝的物語に登場する季節のごちそうの描写に、本を閉じて冷蔵庫を見に行ってしまいそうになる。食べる歓びが詰まった一冊。

③『酒の穴-酒をみつめる対話集』

“チェアリング”という外飲みを広めたユニット「酒の穴」のふたりが酒にまつわるアレコレをゆる〜く語る対談本。ベランダで酒を片手に読めば、飲み会の参加者になったようなほろ酔い気分に。

●教えてくれたのは…
村上陽子さん

SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS 本店スタッフ

2021.06.13(日)
Text=Yuriko Kobayashi
Photographs=Kazumasa Harada、Hirofumi Kamaya(cut out)
Styling=Mariko Nakazato
Hair&Make-up=Takae Kamikawa(mod's hair)
Model=Yuumi Kawai

CREA 2021年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

ちょっとだけアウトドア

CREA 2021年夏号

ちょっとだけアウトドア

特別定価900円

CREA6月発売号は「アウトドア」特集。ビルの間を移り行く空に道ばたに咲く草花、ベランダで感じる風――少しだけ感覚を拡げてみると、自然は案外私たちのすぐ近くにあることに気づきます。日常に落ちている、小さな自然の気配を拾い上げられたなら、窮屈に感じる日々も、少し楽しくなるかもしれません。ベランダで過ごす一日から、身軽なキャンプまで、アウトドア気分をちょっとだけ、お届けします。