キルトを楽しむ人たちは、みんな仲良く助け合う

新しいデザイン構想を描いているジョンさん。このテーブルからいくつものデザインが生まれていきます

 イオラニパレス敷地内にあるアーカイブスと書かれた建物では、毎週土曜日に「ポアカラニ」のハワイアンキルト・クラスが行われています。主宰者はジョン・セラオさんと娘のシッシーさん。あらゆるレベルのキルターたちが集まって行う、キルトサークルのような形で、とてもアットホームな雰囲気。

 一番奥の席に陣取って、えんぴつ1本を持ち、さらさらとデザインを書き上げるジョンさん。ご自身のご家族、そして、奥様の家族も有名なキルトファミリーだったことから、50年近くもの間、ハワイアンキルトを作り続け、1000以上ものデザインをこの世に送り出しているマスターキルターです。ジョンさんは、この日も生徒さんからお願いされてデザインを描いている途中でした。

常に30人ほどのキルターが集まり、ビギナーから上級者までが和気あいあいとキルトを片手におしゃべりしたり、教えたり、教えてもらったり。初めてでも優しく迎えてくれる雰囲気はジョンさん、シッシーさんのお人柄そのもの

 まず、どんなストーリーを持っているのか、ジョンさんのハワイアンキルトづくりは、そこからはじまると言います。ストーリーを聞き、ハワイの自然や題材をモチーフにデザインを仕上げていく。そしてその出来上がったデザインは惜しむことなく、生徒さんたちにプレゼントするのです。ハワイを愛する人、ハワイに親しんでいる人がキルティングする一針一針によって、ハワイアンキルトが生まれ魂が入る、とジョンさんは言います。

 ハワイアンキルトの特徴である、1枚の絵のようなアップリケ。これは魂を現すもの、だから必ず1枚のつながった布地であり、決してばらばらにしてはいけないそう。魂はつながっているもの、そして、それは先祖とのつながりでもある。なんとも慈しみに満ちたジョンさんの語るハワイアンキルトへの思い。ここは一度は悲しみの場所となったところであるけれども、ハワイの人たちの誇りは絶えることなく、引き継がれているのでしょう。

ジョンさんがデザインしたクラウンフラワーのベッドカバーを仕付けする、とても神経を使う作業も、キルトクラスのみんなで助け合って行います

 ここでキルトを楽しむ人たちはみな仲良く、助け合っています。先輩キルターに囲まれて、ハワイアンキルトをはじめられる場所をもうけてくれていることに感謝の気持ちでいっぱいになります。

Poakalani (ハワイアンキルトレッスン)
場所 Iolani Palace Old Archives Building
開催日時 毎週土曜日 9:30~12:00
料金 初回 15ドル(入会金含む) 2回目以降は毎回6ドル
連絡先 Cissy:808-223-1108
URL www.poakalani.net
初めての方は必ずシッシーさんにメールか電話でご連絡ください。
5/8ヤード四方の対照的な色の生地を2枚お持ちください(ベースとデザインになるものなので、お好きなものを持ってきてください)。

工藤まや (くどう まや)
雑誌、TV、CMなどのメディアコーディネーター。ハワイ在住13年目。
アメリカ人の夫と愛犬2匹と虹の町マノアに暮らす。
CREA WEBで「おもてなしハワイ」を連載中。近著に山下マヌー氏との共著『かわいいハワイ』(マーブルトロン)

Column

工藤まやのおもてなしハワイ

ハワイに暮らすお洒落コーディネーター工藤まやさんが、“おもてなし”の気持ちを込めて、ハワイの気持ちのよい空気感たっぷりの話題をお届けします。

2013.03.19(火)