恋愛リアリティ番組でも注目される、メンノンモデル・若林拓也。芥川賞作家・綿矢りさの同名小説を、のん&林遣都共演で映画化した『私をくいとめて』。本作が映画初出演となる彼が、劇中で演じた個性的すぎる同僚・カーターの役作りについて語る。

●イギリス生活で、フレンドリーな性格に

――アメリカ・カリフォルニア州出身ということですが、日本在住を経て小学5年から中学3年の期間も海外にいらっしゃったんですよね?

 生まれてから、3歳ぐらいまでカリフォルニアにいて、そこから小5まで神奈川にいました。そして、当初単身赴任する予定だった父親と一緒に、家族で急遽イギリスに行くことになったんです。

 あまり英語が話せなかったことによる不安や、地元の友だちと離れたくない気持ちでいっぱいでした。そして、中3までの4年間をイギリスで過ごしました。

――幼い頃の夢は?

 小学校に上がったタイミングで母親の勧めもあって、少年野球のチームに入ったんですが、将来、野球選手になりたいとは思いませんでしたね(笑)。その一方で、ゲームがとても好きだったので、「ゲーム会社の社長になる!」と言っていた記憶があります。

――小5から中3までの4年間で、イギリスで学んだことは?

 多国籍の友だちができる環境にいたのですが、後で母親に聞いた話だと、内向的な性格ゆえ、最初の頃はなかなかコミュニケーションが取れなくて大変だったようです。

 その後、自分から相手に接する技術を学び始め、誰にでもフレンドリーな性格になり、中3で日本に帰国するときは、友だちと離れたくない気持ちになっていました。今でも、当時知り合ったイスラエル人の友だちと連絡を取り合っています。

●菅田将暉に憧れ、役者の道へ

――そして、2016年に「第31回メンズノンノ専属モデルオーディション」を受けることになったきっかけは?

 きっかけは、高3のとき、よくインスタを見ていた「メンノン」のヘアメイクの方から、「髪を切った写真を撮らせてください」というDMが来たこと。

 それで、お会いしたときに「オーディションを受けてみたら?」と誘われたんですが、「絶対にムリ!」と思っていました。

 ただ、どこかで目立ちたがり屋の自分がいたり、両親も寛容だったこともあり、大学1年のときに応募しました。

――その後、専属モデルとして活躍し、憧れだった菅田将暉さんらで知られる芸能事務所(トップコート)に所属することになります。

 「メンノン」モデルの先輩である坂口健太郎さんや成田凌さんの背中を見ながら、モデルを始めました。

 2年近く経って、編集部の方とこれからのことを話したんです。就職しないで、興味があった俳優の道に進もうと決心しました。

 その前に、山戸結希監督のショートムービー「玉城ティナは夢想する」に出演する機会があり、まったく何もできない自分が悔しかったことも大きかったです。演技に関しては、今も悩んでいます。

――自身にとって転機となった作品・出来事はありますか?

 今AbemaTVで配信している「恋愛ドラマな恋がしたい ~Kiss On The Bed~」です。

 10日間泊まり込みの撮影を2回分、計20日間の演技合宿のようで、恋愛リアリティ番組の要素も入っているため、いろいろ思い悩んで葛藤することもあったんです。

 でも、終えてみて、大きな達成感とともに、ひとりの人間として成長できたという実感がありました。オフのときは、完全に素の自分でいようと思ってましたし、ドラマを演じるときは、「自分がいちばんカッコいいでしょ?」ぐらいの気持ちでいるようにしました。

 これまでの自分とは違う新しいキャラが生まれたのかもしれません。

2020.12.18(金)
文=くれい響
撮影=今井知佑
スタイリング=入山浩章
ヘアメイク=佐鳥麻子