“安全”をクリアしながら効果を絶対諦めないコスメ
b、c 津田攝子医師が開発した2つの美容液は、使用量と使用順を変えることで、敏感肌を含むあらゆる肌に対応可能。b フィルムアップトリートメント 30ml ¥7350、c パーフェクト C エッセンス 30ml ¥7350/津田美容総合研究所
d 石井聖子氏がつくり上げた「魔法の水」は、美白、消炎効果に優れた酵母発酵液。ハッカの香りも魅力。ザ・フィンギー 200ml ¥4200/フィンギー
ひょっとすると今“ドクターコスメ”ほどユニークなジャンルはないのかもしれない。もともとドクターコスメは、化粧品が合わない肌のために“刺激を与えないこと”を目的に、医者の責任のもとにつくったのが始まり。でも一方で、ほんの数えるほどだが“本当に効く、治すための化粧品”が存在し、圧倒的な支持を得つつ今も脈々と生き続けている。市販せず、医者から手渡しだからこそ、一般コスメにはできないことをする高効果コスメが。
そのひとつが、“石井家秘伝の水”。石井クリニックで処方されてきた酵母発酵液だ。ニキビの炎症をはじめ、肌あれ、シミ、くすみ、日やけ後の消炎など、細胞の生まれ変わりを高めることで、文字通りの万能効果を持った。まさしく医者にしかつくれない効きめと言えるのだろう。
だからこの発酵液を求める人が、クリニックに一日中行列をつくったとも言われる。石井クリニックの石井禮次郎ドクターは、のべ100万人を超える肌を診てきて、その臨床経験の集大成と言えるもの。そして今年、長女の石井聖子氏によって、この伝説の水がザ・フィンギーというネーミングで市販化される。ザ・フィンギーは、これからデビューするエイジングケアのスターターともなるもので、この発酵液で肌の問題を取り去り、肌の働きに弾みをつけてから本格エイジングケアに入っていくという、まったく新しい仕組みをつくりあげている。ともかくこの伝説の水のめざましい効果を体感してほしい。医者にしかできないことがあるのを思い知るはずだから。
そして、市販のドクターコスメが“敏感肌用”のような位置づけになっていた時代に、いち早く“安全と効果”を両立させ攻めの化粧品を開発したのが、津田攝子ドクターだった。ヒット作を輩出したフイルナチュラントの生みの親であり、化粧品開発の一方で、津田式静脈マッサージのメソッドを独自に開発したことでも有名。ともかく、自分自身の肌を使って、“本当に効く化粧品”を追求し続けてきた姿勢は、ドクターコスメの定義を塗り替えたと言っていい。その人が、初めて自分の名前をそのままブランド名としたエイジングケア化粧品を発表したのだ。
TSUDA SETSUKOの2本の美容液は、まさしく臨床現場において、医者でなければつくれないもの。1本は傷の治療などに使う特殊なフィルム膜を再現したフィルムアップトリートメントで、ふっくらしたハリと弾力を生み出す即効のエイジングケア美容液。もう1本は、ビタミンC配合で肌のザラつきをなくしてツルッとさせるパーフェクトCエッセンス。この2本の組み合わせが、あらゆる原因の毛穴悩みを消してくれるというので、発売前から話題となった。一品一品の働きも、2品を目的によって使い分ける考え方も、やっぱり医者でないとできない発想。有難い2本である。
そしてもうひとつ、新宿フェミークリニックの若き院長、水野冴岐ドクター開発の核酸エイジングケア。洗顔後はこれ1本のシンプルケアながら、肌の“素材と設計図”とも言える核酸そのものを増やしていく抜本的なエイジングケアは、20代から始めたいもの。ターンオーバーを高めながら、肌そのものを育てていくテクニックは、やっぱりドクター発想。医者コスメ界にもこういう若き才能が次々と登場している。そっくり肌をあずけてみる価値あり。あらためて医者コスメの時代なのである。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2013.02.20(水)