#208 Aogashima
青ヶ島(東京都)

米国の環境NGO「ONE GREEN PLANET」が選んだ「死ぬまでに見るべき絶景13」のリストに、日本で唯一選ばれたのが青ヶ島。伊豆諸島の最南端の、東京都の島です。
東京23区から南へ約358キロメートル。いちばん近い八丈島からは約80キロメートル。
そそり立つ断崖に囲まれた、文字通りの絶海の孤島です。東京都といえども、アクセスの難しさは国内屈指。


八丈島からの定期船「あおがしま丸」の就航率は5~6割。ひとたび海が荒れると、海面が落ち着くまで、船が2週間、入港しないことも珍しくないとか。
可能性が高いヘリコプターでも、運航率は約8割。1日1便、しかも9席しかありません。
訪れるには、余裕のあるスケジュールと、“運”が必要です。
青ヶ島は“ダブルカルデラ”という世にも不思議な地形をしています。数千年前の火山噴火で島が誕生し、さらに1785年の天明の大噴火によって、二重のカルデラが生まれたのです。

港から上陸してまずは、外輪山を貫く全長約500メートルの青宝トンネルを抜け、カルデラ内へ。
そこには、大きな葉っぱのオオタニワタリなどのシダ類をはじめ熱帯雨林が広がっています。高い位置を走ると、ババロアのような形をした丸山も見下ろすことができます。
カルデラの内側をぐるりと回って、ふたたび平成流し坂トンネルから外輪山を出て、島の北部の中心地、岡部地区へと向かいます。ここは村役場や駐在所、商店、ガソリンスタンドなどがある、島の心臓部。


島のダブルカルデラを眺めるならば、標高423メートルの大凸部(おおとんぶ)という島の最高峰へ。
ここへは石組みの急こう配の山道を一歩、一歩、登らなくてはなりません。
息は切れるし、吹き出た汗が目の中に入るし、かなりハードな分、頂上まで達した時の感動はひとしおです。
2020.11.07(土)
文・撮影=古関千恵子