ハイライトは見たことのない満天の星!

 カルデラ内には地熱を利用した施設があります。そのひとつ、“ひんぎゃ”という、島の言葉で“噴気孔”という名の地熱を利用した調理場「地熱釜」は、誰が利用してもOK。

 ひんぎゃの中にじゃがいもや玉子、ソーセージを入れて、フタをして待つこと約30分、ホクホクに茹であがります。

 これに「ひんぎゃの塩」(地熱を使って水分をとばした地元の塩)を付けていただくと、最高!

 ひんぎゃから噴き出す水蒸気の量や温度は、日によって変わるそうです。活火山の島の息吹を感じるようです。

 島の芋焼酎の「あおちゅう」は、“幻の焼酎”と呼ばれています。使用する「かんも」と呼ばれるさつま芋は、どんな種や苗を持ち込んでも、甘さの強い“青ヶ島バージョン”に変化するのだとか。

 ユニークなのが、「あおちゅう」というブランド名はひとつながら、10人の杜氏が家に伝わるど製法で造るために、誰が、何年に造ったかで、味わいがまったく異なります。

 最初に蒸留される「初垂れ(はなたれ)」は、蒸留してすぐのアルコール度数60度以上のもので少量しかとれないもの。かつ、特区として島内での販売に限定されています。まさに、ファン垂涎の逸品です。

 そして青ヶ島のハイライトといえば、星空。

 周囲に島がなく、青ヶ島自体にもネオンはなし。光害を受けない、星空観察には最高の環境が整っています。

 特にカルデラ内から外輪山をフレームにして見上げた空は、天文ファンの間では「星空コロシアム」と呼ばれているそう。

 こんなに力強い光の天の川や、星よりも闇部分の方が少ない夜空を見たのは、はじめてです。

2020.11.07(土)
文・撮影=古関千恵子