●目指すは、唯一無二のことができる俳優

――本作では、どんな新しい戸塚さんが観られると思いますか?

 特別養護老人ホームという施設で、さまざまなルールのなか、大森圭ができることを探す話なんですが、そこでの苦悩や葛藤するお芝居を観ていただきたいと思いますし、それがみなさんに伝わってほしいですね。

 僕自身、大森圭を演じると、誰に対しても、とても優しい気持ちになれるんです。そして、介護現場に関しては、まだまだ伝えていきたいドラマやメッセージがあるので、大森圭の成長とともに、シリーズを続けていきたいですね。

――ドラマ「警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~」ではサイバー捜査官・太田文平を、「ドクターX~外科医・大門未知子~」では働き方改革を遵守する外科医・多古幸平を演じられました。

 「ゼロ係」は「シーズン2」から参加させていただいています。「シーズン4」まで続けられたことが、大変ながらも新鮮でした。監督の勧めもあって、太田文平を地元の岩手弁を使うキャラクターにしていただけたのも有難かったです。

 「6期」に出演させていただいた「ドクターX」では、米倉涼子さんが作り出すチームの素晴らしさと西田敏行さんのお芝居に圧倒されました。それと同時に「次は、どんなことをやられるのか?」と、本当に予測できないお芝居にワクワクしていました。

――30歳に向けて、今後の展望について教えてください。

 年齢を重ねることで、その年齢によって出せる説得力は変わってくると思うので、頑張っていきたいですね。

 また、同年代に対するライバル心も薄れてきて、自分のやるべきこと、やりたいことが明確になってきているので、競い合うというよりは、唯一無二のことができる俳優になっていかなきゃいけないなとも思います。そして、周りから期待される魅力的な俳優を目指していきたいです。

戸塚純貴
(とづか・じゅんき)

1992年7月22日生まれ。岩手県出身。11年、ドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011」で俳優デビュー。「ゼクシィ」史上初のCMボーイに抜擢され、17年の『ケアニン~あなたでよかった~』では主演を務める。そのほか、『銀魂2』(18年)、『青の帰り道』(18年)、『MANRIKI』(19年)、『“隠れビッチ”やってました』(19年)。ドラマ「死にたい夜にかぎって」(毎日放送)は、7月にDVD発売予定。

『ケアニン~こころに咲く花~』

小規模施設から大型の特別養護老人ホームに転職した介護福祉士の大森圭(戸塚純貴)。効率やリスク管理を優先する大型施設ならではの運営方針に戸惑いを隠せないなか、認知症の美重子(島かおり)が入所。それまで妻を自宅介護してきた夫の達郎(綿引勝彦)は、施設を信用できず、担当となった圭にも厳しく当たることに。
4月3日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国順次公開。
http://www.care-movie.com/2/
(C)2020「ケアニン2」製作委員会

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2020.04.10(金)
文=くれい響
撮影=鈴木七絵