芸術遺産の継承を目的として、芸術界の巨匠と新進アーティストの交流を支援する「ロレックス メントー&プロトジェ アート・イニシアチヴ」。

 過去にはマーティン・スコセッシ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、妹島和世、勅使河原三郎といった名だたる芸術家たちがこのプロジェクトに参加してきた。

 今年2月、南アフリカのケープタウンで開かれたパブリックイベントであるアート・ウィークエンドでは、2018-19年度の成果が披露されるとともに、2020-2021年度のメントーが発表され、世界的な話題を集めている。

創立者、ハンス・ウイルスドルフの
精神に基づくプログラム

 このプロジェクトの原点はロレックスの「パーペチュアル(永続的な)・スピリット」。

 パイオニア精神を尊び、比類なき完璧さと卓越性を追求し続けたロレックスの創立者、ハンス・ウイルスドルフは、恒久的な社会貢献活動に情熱を注ぐ慈善家でもあった。

 人間が持つ限りない可能性、向上の継続と卓越性の永続、常に限界を押し広げていく長期的な視野に基づくその精神は、社会貢献事業にも息づいており、芸術、文化、スポーツ、環境や探検など支援する分野も多岐にわたる。

 その精神に基づき創設されたのが、アート・プログラム「ロレックス メントー&プロトジェ アート・イニシアチヴ」だ。

“師弟”が知識を分かち合う
至高のプログラム

 2002年、ロレックス メントー&プロトジェ アート・イニシアチヴは、世界の芸術遺産が次世代へと継承されることを支援するために創設された。プロジェクトの鍵となるのは「知識の伝承」。

 時計製造においても、芸術や文化の支援においても、知識の伝承は不可欠とする創業哲学が、ここには込められている。

 特筆すべきは、世界中で発掘された若手アーティストたち(プロトジェ/生徒)と様々な分野の芸術界の巨匠(メントー/指導者)がペアとなり相互交流を行う点である。

 師弟となった芸術家たちは濃密な交流を続け、2年を1サイクルとして、創作的なコラボレーションを試みる。そして、プログラムの最後に行われる「ロレックス アート・ウィークエンド」で成果として作品を発表するのだ。

 その様子はまさに伝統と革新とが交わることで、アートの未来を紡ぎだしていくようだ。

 この、奇跡のようなプログラムを経て飛翔を遂げ、国際的なネットワークも得た若手アーティストたちは、その後、芸術文化に大きく関わり、貢献していく。

世界的なコミュニティが拓く
アートの未来

 プログラムには創設以来、数多くのアーティストが関わってきた。

 20年を経た今、関係者たちの交流は豊かに発展し、世界的なクリエイティブ・コミュニティが構築されている。アート・イニシアチヴの最も大きな成果のひとつだ。

 ロレックスが推進する芸術遺産の継承に、このコミュニティが果たす役割は計り知れない。

 2020年2月8日(土)、9日(日)、南アフリカ・ケープタウンのバクスターシアターセンターで開催されたロレックス アート・ウィークエンドにも、各国からコミュニティのメンバーたちが集結した。

 アート・ウィークエンドでは2018-19年度のアート・イニシアチヴの集大成が披露され、芸術界を牽引するメンバーたちによるトークイベントなども話題を集めた。

 また、2020-21年度のメントーが発表され、スパイク・リー(映画)、フィリダ・ロイド(舞台芸術)、リン=マニュエル・ミランダ(オープンカテゴリー)、キャリー・メイ・ウィームス(視覚芸術)がこのプログラムに参加することになった。

 時代を超えた知識の伝承を支援し、促進するロレックス メントー&プロトジェ アート・イニシアチヴ。新たな芸術遺産の未来が今また、ここから始まる。

ロレックス メントー&プロトジェ

https://www.rolex.org/ja/rolex-mentor-protege

2020.03.05(木)
Text=Masami Uwabo