アジア随一、KRUGが手がけるプライベートダイニングへ

 革張りの椅子やずらりと並んだモルトウイスキーが英国のクラブを思わせるバー、「ザ・チネリー」。その店内を通り、厨房に通じる扉を開けてバックヤードをしばらく歩くと、「THE KRUG ROOM」が現れる。厨房の中心に作られた小さく贅沢な空間は、一流シャンパーニュメーカーのKRUGが手がける、世界に4つしかないダイニングのひとつ。

こんなところに、こんな豪華な空間が? と思わせる演出で隠れ家気分も満点
photograph:Pian Pang

 完全個室のダイニングが位置するのは、なんと厨房のど真ん中。食器を逆さにしたような照明が細長いテーブルを照らす斬新なインテリアもさることながら、誰もが目の前の光景に驚かされるはず。一面の大きな窓一枚をしきって、そこには活気あふれる厨房があり、まるで観客席からステージを見ているかのように、調理の様子をライブで見ることができるのだ。できあがった料理は、シェフが一皿ずつテーブルに運び、丁寧に料理の説明をしてくれる。

斬新なインテリアと、目の前に見える厨房。舌だけでなく目も楽しませてくれる隠れ家ダイニングだ
photographs:Pian Pang(左、右ともに)

 次から次へと運ばれる料理は、どれも今までに見たことがない独創的なもの。器かと思えばチョコレートだったり、フルーツに見えてフォアグラだったり、植木鉢かと思いきや野菜だったり……(飾りの葉っぱに見える部分もすべて食材!)。さらに、2013年は50周年アニバーサリーとして、ホテルが誕生した1963年にちなんだメニューも登場。この年に発明されたシリアルをヒントにした一品や、同年に初めてテレビ出演したアメリカ人のセレブリティシェフにちなんだメニューなど、ここでしか食べられないものが目白押しだ。

左:これ、電球? と思いきや、バリバリと食べられるユニークなスイーツ
右:季節のガーデンをイメージし、フォアグラやマッシュルームで再現。一瞬、食べていいのかどうか迷うけれど、どれも凝っていておいしい
photographs:Pian Pang(左、右ともに)

 オープンはディナーのみで、ゲストは1日12名限定。独創的な料理を楽しむべく、決まったメニューは用意されていない。次々と用意されるサプライズを楽しみながら、12品をいただく。もちろん、料理に華を添えるのは、極上のクリュッグ・シャンパンだ。豪華でエキサイティング、そして特別。ここはそんなスペシャルな日のディナーに選びたい、香港随一の隠れ家ダイニングだ。

左:極上のクリュッグと独創的な料理。こんなコラボを楽しめるのは、アジアではここだけ。コースはグラスシャンパン2杯付きで2288香港ドルから(10%のサービスチャージ別)
右:ウーヴェ・オポツェンスキー氏が一人ひとり、サーブしてくれる。この贅沢感はシェフズテーブルならでは
photographs:Pian Pang(左、右ともに)

MANDARIN ORIENTAL, HONGKONG (マンダリン オリエンタル 香港)
住所 中環干諾道中5号
URL www.mandarinoriental.co.jp/hongkong

文華 (マン ワー)
電話 +852-2825-4003
営業時間 
飲茶 月~金 12:00~14:30 土・日 11:30~14:30
ディナー 18:30~22:30

THE KRUG ROOM (ザ クリュッグ ルーム)
電話 +852-2825-4014
営業時間 月~土 19:30~(完全予約制、1日12名限定)

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
トラベルライター。マカオをはじめとするアジア、中米を中心に取材。テーマは、ネイティブの暮らしやローカルフード、リゾート、ホテルなど。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビ、雑誌などで発信中。トラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(著・花津ハナヨ  文藝春秋)では、女流漫画家の花津ハナヨ氏と共にマカオを歩き、女性視点のユニークなマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。www.serizawa.cn

Column

芹澤和美の香港・マカオ 時の流れを超える旅

マカオをはじめとするアジア、中米を中心に取材するトラベルライターの芹澤和美さんが、昔の姿を残しながらも近年急速に発展する街・マカオ、そしてエキゾチックな香港の魅力を紹介します。

2012.12.24(月)