のどかな北ファカラバを
自転車でぶらり探検

 ファカラバ空港があり、この環礁の人口のほとんどが集中する北ファカラバの中心地、ロトアヴァ。

 といってもビルなどはもちろんなく、道路沿いにたまに見かける建物はカラフルな色使いの平屋タイプばかり。

 島を探索しに、サイクリングに出てみることにした。

 宿のフロントに、
 「周辺の地図はないですか?」とたずねると、

「ないわね~。道路沿いに、どこに何があるか書かれた看板があるから。それを見て」。

 いわれたとおりに路上の地図のところへ行ってみる。たしかに一度見れば覚えられるほど、町のつくりは簡単だった。海沿いの一本道に、ほぼすべてがあった。

 赤い三角屋根の教会は、礼拝の時間以外にも人々が花を手に訪れる身近な存在。原色使いの聖堂内は貝をつなげたリボンでたっぷり飾られていた。

 「ファレ・アルチザン・ファカラバ」(職人の家)では、手作りのパレオや貝細工のアクセサリーなどがテーブルの上に並べられ、タヒチアンのマダムが笑顔で迎えてくれた。

 ある朝、早く目覚めたので、早朝の町を見てみようと自転車にまたがり、キーコ、キーコと漕ぎ出した。

 町のよろず屋さん「ブーランジェリー・ハヴァイキ」では焼き立てのバゲットを求めに島の人たちが次々と店に入っていく。ちょっとした賑わいだ。

 4~5本のバゲットを抱えて出てくる人、家まで待てずに店先でパクついている人、自転車のカゴにバゲットを無造作に突っ込んでいる人。みんな顔見知りのようで、朝の挨拶を交わしていた。

 ファカラバの一日のはじまり、この環礁の人口の1割くらいを見かけたと思う。

2019.09.01(日)
文・撮影=古関千恵子