キャバクラやホストクラブと
勘違いしている

 セクハラしてくる人は、欲求不満です。

 口説きたい、抱きたい、さわりたい、眺めたい。そういった欲求をそのまま満たすわけにはいかないので、代わりに、セクハラをしてくる。それだけです。

 恥ずかしい話題を振って、照れる様子を見たい。性的な話をすることで、距離を縮めたい。実に気持ちが悪いです。そういう目で見ないでくれ、それならお金払って、キャバクラなりホストクラブなりに行ってくれ、という話です。

 中には、単に相手をいじめたいだけの人もいます。

 性的な目で見ているわけではないけれど、相手が困る顔を見たい、もじもじするところを見たい。ちょっとしたサディズムです。

 だから男性上司が男性部下に「風俗に連れて行ってやるよ」と言ったり、女性上司が女性部下に「結婚はまだ? 男の子紹介してあげようか?」と当てこすったりするのです。

 いずれの場合も、相手はあなたの困る顔を見たいだけなので、どんな言い返しも無効になります。

 「そうなんですよー」と明るく受け入れても、「やめてください」ときっぱり拒絶しても、どっちもダメ。もじもじした顔、照れた顔、怒った顔を見せるまでやめてくれない。地獄です。

 ですがそこで、観念して作り笑いをしようものなら、あなたはその日一日、暗い気持ちで過ごすことになるでしょう。

 なにか打開策はないのでしょうか?

 相手がいつのまにか静かになっているような、上手な言い返し方はないのでしょうか?

真顔でそのまま繰り返す
「オウム返し」

 セクハラをしてくる人には、真顔でそのまま繰り返す、オウム返しが効果的です。

「今日はデート? メイクばっちりだね」

「デート、ですか? メイク? がどうかしましたか?」

「いや、その、えーと、そうかなーって……」

「最近、太った? もう少し痩せてるほうがいいよ」

「え? 太った? 最近? 『痩せてるほうがいい』って言いました?」

「え? 言ったかな……ごめんごめん、余計なことだったね」

「女の子にはガンガン行かないとダメだよ。草食とか言ってないでさ、ほら」

「女の子、に? ガンガン…? 行く…?」

「いや、あんまりぐいぐい行くのもよくないか、そうだね、よくないね」

 まるで、生まれて初めて聞いた言葉のように、かみしめるように、ゆっくりとそのまま繰り返して、問いかけます。

 そうすれば、相手にその失礼な質問をそのまま投げ返すことができますし、結果的に、「おい、お前、本気で聞いてるのか?」と、相手の下劣な品性をそのまま突き返すことができます。

 ロボットのように、違う星から来た人のように、相手の目を見て、しっかりと繰り返すようにしましょう。

 万が一、口にしたくないような言葉を投げかけられた場合には、繰り返さなくてOK。そのときは、穴が空くほど相手の目を見るといいでしょう。

 いずれにしろ、相手を戸惑わせることができたら、こっちのものです!

【今回のポイント】
セクハラしてくる人は……

◆実は欲求不満を満たそうとしている。

◆NGアクション:「セクハラです」と言っても逃げられる。

◆OKアクション:そっくりそのまま繰り返して、たじろがせる。

『「言い返す」技術』

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著・五百田達成
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五百田達成(いおた・たつなり)

心理カウンセラー。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。専門分野は「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」「SNSと人づきあい」「ことばと伝え方」など。
Twitter @ebisucareer