動物の動画を毎日見ている

──「最高の離婚」の光生の家も、「Woman」の小春の職場も、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」で音ちゃんが北海道で働いていたのも、クリーニング屋さんですね。

坂元 あんまり自覚してることじゃないけど、クリーニング屋さんが好きなんでしょうね。服についてるタグとかも、昔からよくドラマに書いてますね。

 ものを売ってるわけじゃないし、カウンターだけじゃないですか。ちょっと中途半端な感じがいいのかな。

 そこでゆっくり腰を下ろして食べるでもなく、何か買うわけでもなく、洗濯物を預けて帰って行くだけの場所だから。

 しかもそれを取りにもう1回行くし、往復しますもんね。絶対2回会う仕事って、いいですね。

──時事ネタやコネタを脚本に入れることは意識されていますか? 「それでも、生きてゆく」で双葉が野茂選手の真似をしたり、「カルテット」で「ドラゴンクエスト」の曲を演奏したり、映画やアイドルの話もたくさんでてきます。

坂元 時事ネタとかコネタは、普通に書いてれば入っちゃいます。

 要するに、時事ネタや固有名詞を書いちゃいけないと思ってないだけで、普通に友達と話してたらダイオウイカの話が出るじゃないですか。

 特別それを書きたいわけじゃなくて、雑談してたら自然に入るだろうっていう、それぐらいのことです。時代のことを意識してるわけでもないですね。

 僕の生活に深く密接してるのは、動物動画かな(笑)。執筆中は毎日ひたすら見ています。

──「最高の離婚」の光生さんみたいですね(笑)。

坂元 そこは、ほんとに同じことをしています。ニュース見ないで、動物動画を見てるから。自分のインスタグラムだって、おすすめのところには動物しか出てきません(笑)。

──最後にバカみたいな質問ですが、好きな食べ物はなんですか?

坂元 仕事中はずっとチョコレート食べてます。

 「つぶあん」が一番好きなんですけど、好きすぎて、美味しいつぶあんは食べたいけど、美味しくないつぶあんは絶対食べたくない。

 好きだから選ばないってわけじゃないでしょ。好きなつぶあんは一番好きだけど、好きじゃないつぶあんは一番嫌いです(笑)。なんだってそうですよね。

坂元裕二(さかもと ゆうじ)

1967年大阪府出身。脚本家。主なテレビドラマ作品に、「東京ラブストーリー」「最高の離婚」「問題のあるレストラン」「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「カルテット」「Mother」「anone」などがある。向田邦子賞、芸術選奨新人賞、同文部科学大臣賞、橋田賞を受賞。

『脚本家 坂元裕二』

ギャンビット刊
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