唯一絶対という選択肢はあり得ない
人生の選択肢が多過ぎて逆に選び切れずに悩んでいる女性も少なくない。あとで後悔するのは嫌だと思うほど、選択はしにくくなる。
「これが唯一絶対間違いのない選択肢だ、というものは存在しません。どんな選択肢にもそれを選ぶことのマイナス面は必ずある。それが大前提です。『選択日記』で自分の下した選択を自己評価するとき、結婚や転職など人生における大きな選択ほど自己評価は難しく感じるかもしれません。なぜなら、それは幸せに関わる問題だから。どんな状態を幸せだと感じるかは、人によって大きく異なるうえに、同じ人間でも時がたてば変わっていくものなのです」
キャリアアップを目指す女性やワーキングマザーが増えた現在では、周りにロールモデルの存在しない選択を迫られる女性も少なくない。
「ロールモデルがいない選択が難しいのは確か。私自身がそうでした。私は目が見えないので、大きくなったら何になろうかを考えた時、ロールモデルになる人はいませんでした。目が見えないという制約がある中で私が自分に問うたのは『私の付加価値が最大になるのは何か』ということ。困難なこともたくさんありましたが、ロールモデルがいない選択のいい点は、選択肢を創造する機会が生まれることです。制約や限界があっても新しい可能性を自分で作り出せばいいのですから」
「選択日記」に記される選択は、当然ながらこれまでに自分が下した選択であり、そこから見えてくるのは過去の自分。
「それをベースに自分のことを見つめ直し、人生の次の選択を自分はどうすればいいかを考える。それが選択には大切なことなのです」
2012.08.27(月)
text:Miho Katsuki
photographs:Yasuo Yoshizawa
styling:Masayo Koriyama