意外な転機が、意識の変化につながった

横浜ベイクォーターでの親子教室の様子

 復帰したものの、所属部門が縮小されることになり、今度はベンチャー企業に転職。権限も大きくなり、激務の日々が続いたが、意外な転機が訪れた。

「業績不振で9割の社員を解雇することになったんです。初めて、会社勤めに疑念が湧きました」

 早期退社後に通った職業訓練学校で仕事と育児の両立に悩む母たちと話をするようになって、意識が変化していった。

「自分ばかり育児と仕事について悩んでいる気でいましたが、子どもを持つ女性の多くが身近な助けがあれば、働きたいと考えていることを目のあたりにしました。でも事業化については調べるほどに儲からないと思いました(笑)。サラリーマン時代は、同世代の男性平均以上の年収でした。現在は……ですけど、子どもに働く姿を見せることができる今の方が幸福度は高いですよ」

 前の職と今の職での「勤務時間」「睡眠時間」「年収」「悩みの数」「休暇」について比較、5段階で評価してもらった。ブルーの5角形が前の職をピンクの5角形は今の職を表している。

甲田恵子さんの場合

 ベンチャー時代に比べ、年収は5分の1に、勤務時間は増え、休日と睡眠時間は減った。
「正直、しんどいと思うこともあります。でも継続していく先に何かがあるって信じられる。年収も5年以内に前より増やしますよ」

2012.06.11(月)
text:Yuki Imatomi / Mami Watanabe / Atsuko Komine / Ai Sakamoto / Etsuko Onodera
photographs:Tamhito Yoshida / Keiji Ishikawa / Mami Yamada / Hirofumi Kamaya

CREA 2012年7月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

女が会社を辞めるとき

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