日本料理の伝統と美に
世界の味と文化を一滴

建物に灯がともり、日が落ちてからの風情もまた格別。

 “花街サロン”の後は、静かで美しい奥の庭で一服したり、ライブラリーラウンジでゆっくりしたりしていると、もう夕食の時間。

日本料理を踏まえ、ヨーロッパでの経験を生かして“五味自在”を作る久保田総料理長。

 ダイニングでは、日本料理に世界の味と文化を一滴加えた“五味自在”という創意あふれる料理を味わえる。総料理長の久保田一郎氏は、京都祇園の割烹料理を営む家に生まれ、フランスで修業をした後、ロンドンのレストランで就任した総料理長時代、オープン5カ月、31歳でミシュランの1ツ星を獲得したという経歴を持つ。

 食材が引き立つ組み合わせの妙、日本料理の伝統を踏まえながらの自由な発想が生み出す料理は、見た目も美しく、どんなお味かとワクワクする。

八寸は、どれをとっても創意工夫が楽しい。思わず日本酒が進む。

 たとえば八寸では、蕪鮨(かぶらずし)に鮨の原形と言われる熟れ鮨(発酵鮨)を使ったり、昆布で〆た千社唐(茎レタス)は、冬の庭木を思わせる雪吊りに見立てたり。

シークワーサーのジュレの下に肝や白身、柿が隠れたカワハギの変わり造里。

 カワハギの変わり造里は、とても凝った一品。この刺身は、肝醤油で食べるのが定番だが、肝に柑橘系の香りを纏わせ、そこに焼いた早生の柿と歯ごたえのある白身を重ね、シークワーサーのジュレとカツオ醤油でまとめている。柑橘の香りと柿の甘みのハーモニーが絶妙だ。

 その他、焼物にブリの味噌幽庵焼き、強肴に牛フィレの炭火焼と旬野菜含メ煮など、食材は入荷の状況で多少変わる場合もあるが、6品のお料理コースにご飯、デザート、水菓子で20,000円(税・サ別)。

 ゆっくりと“五味自在”を楽しんだ後、後篇では大人の時間に開かれる“聞香BAR”や雅な京文化、香の楽しみについてお届けする。

星のや京都
所在地 京都市西京区嵐山元録山町11-2
電話番号 0570-073-066(星のや総合予約)
http://hoshinoya.com/kyoto/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

日本を遊ぼう! 星野リゾートで地方の魅力再発見

日本のさまざまな地方の隠れた魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。全国に展開されているその各施設を訪れ、その地ならではの遊び方、旅の仕方を再発見していきます。グルメ、自然、伝統工芸……、思いっきり日本を遊ぼう!

2017.12.30(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=橋本 篤