花街の芸舞妓さんと楽しむ
女子会のように気軽な時間

まずは舞妓さんと初対面のご挨拶。まるでお人形のようで、こちらがどきどき。

 京都のお茶屋さんが並ぶ花街といえば、白塗りの美しい芸舞妓さんが行き交い、一度は行ってみたいと憧れもある一方、「一見さんお断り」の近づき難い感じもあるところ。さらに、芸舞妓さんと気さくに話をするとなると、お座敷慣れしていないと無理そう。

 「星のや京都」では、室町時代から続く京都の花街の文化や芸舞妓の日常に触れる機会を持ってもらおうと“花街サロン”を開く。開催期間は2018年2月10日(土)から28日(水)まで、予約は不要で無料だという。一足先に、この早春のプログラムを体験してみた。

こんなに近くで舞妓さんの舞が見られる贅沢な時間。

 まず、会場の「Salon & Bar 蔵」のテーブル席で、スイーツや飲み物をいただきながら、芸舞妓さんと向かい合って話せるのが何とも寛いだ雰囲気。

 この日は、京都で最も古い花街という上七軒から来た市こまさんがお相手をしてくれた。まずはソフトドリンクを片手に「おこしやす」とにっこり微笑む市こまさんは、舞妓になって3年目。この機会なので、ベールの向こうという感じの芸舞妓さんの日常スケジュールやメイクのことなどを聞いてみる。

左は「亀屋良長」の銘菓である黒砂糖の烏羽玉。黄色は柚子、オレンジは柿でアレンジしている。右は「ダリケー」の焼きカカオ。そして、お菓子に合わせて選んだスパークリングのロゼ。

 「毎日、起床は8時、朝からお掃除や洗濯をしたらお稽古。午後2時には入浴とお白粉のお化粧をして準備、お座敷から戻ったら夜中ですねえ」と市こまさん。お休みは月に2回とハード。驚いたのは髪結いをできる所は、祇園で2、3軒と限られているので、1週間ぐらいは結いっぱなしということ。寝る時は箱枕、お休みの日もそのままのことが多いという。

 舞妓になったきっかけは、「上七軒のお姉さんの書かはった舞妓の作法の本を読んで」。舞、お茶、三味線、お囃子に笛、唄、そして何より言葉づかいにお作法と、習うことはいっぱいでたいへんだが、憧れて入った世界。「芸妓は一生できるお仕事」とにっこり微笑む。

左:その名の通り、蔵を改装した「Salon & Bar 蔵」。
右:外に出て、舞妓さんの美しいうなじにドキリ。

 気になるメイクは、「白、黒、赤のお粉を混ぜて、全部自分で」するのだそうで、若い舞妓はかわいく見せるために、アイラインはNG、マスカラも軽め、くちびるも塗るのは下のみなど、決まりがあるそう。何を聞いても、はんなりと笑顔で応えてくれた市こまさん。披露してくれた舞も優雅そのものだった。

2017.12.30(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=橋本 篤