星野リゾート ロテルド比叡(前篇)

 日本の地方の魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。その各施設を訪れ、地方らしい遊び方、旅の仕方を再発見していこうというシリーズが「日本を遊ぼう!」。今回ご紹介するのは、京都と滋賀をまたぐ比叡山に立つ絶景のオーベルジュ「星野リゾート ロテルド比叡」。その“食”の楽しみをご紹介します。

近江が誇る発酵茶を
じっくりテイスティング

琵琶湖固有の魚、ビワマスのマリネ。まったりした魚に卵黄味噌漬けと苦みのある山菜がマッチしている。

 京都と滋賀とに連なる比叡山には、1200年を超える歴史を持つ世界遺産の延暦寺がある。「星野リゾート ロテルド比叡」は、その延暦寺とは地続きで、琵琶湖の絶景を見下ろす場所に立地する。

右:モダンなインテリアの中にどこかクラシックな落ち着き。
左:ロビーの全面ガラス窓を飾る比叡の山並み。

 吹き抜けになった明るいロビーの全面ガラスにも、京の都と琵琶湖・比良山系のモチーフがあしらわれている。ここは、歴史を誇る近江の地で、その食を楽しむオーベルジュ。琵琶湖の幸とそれを保存するための智恵が生かされた発酵食を、いろんな形で味わえる。

左:絶景の山床カフェで、まずはほっと一息。
右:香り高い近江茶をいただく。

 まずは、琵琶湖の絶景を望むテラスに設けられた、京の川床ならぬ「山床カフェ」でアフタヌーンティー。最澄が唐から持ち帰った種子がルーツという近江茶と、タルトや焼き菓子が無料で振る舞われる(15:00~17:00)。

お茶について学ぶことができる“近江発酵茶サロン”。

 また、薀蓄(うんちく)を聞きながらお茶のテイスティングをする“近江発酵茶サロン”という催しも好評だ。

ほうじ茶を未熟、半熟、熟成の3段階で飲み比べ。

 お茶は、発酵の度合いによって、緑茶に代表される未発酵茶、烏龍茶に代表される半発酵茶、紅茶に代表される発酵茶など3つに分かれる。こちらのホテルで味わえるお茶は、発酵した茶葉を焙煎したオリジナルなもの。発酵度合いによる3種のほうじ茶の味と、焙煎によって加わる香ばしさや深みを実際に飲んで確かめる(15:30~15:45/無料・予約不要)。

左から右へ熟成の度合いが深くなる。さらりと香ばしさを感じる未熟成、深みを感じる半熟成、紅茶のような味わいの熟成と個性が異なる。

2017.06.17(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵