奉納芸能には集落のみんなが参加
「星のや竹富島」でのディナーは、琉球ヌーヴェルがテーマ。近海でとれたシーフードや、沖縄で育てられた豚などの厳選された素材を主役に、沖縄ならではの食材である島人参や島バナナなどを使い、フレンチの技法で仕上げている。
そして、命草(ヌチグサと読み、長命草やフェンネル、ローズマリーなどのハーブを指す)やシークワーサーなどが香りを添える。メインの肉を2種類から選ぶことができる6品のコースにさらに2種類デザートが出る。お値段は12,000円(税・サ別)。
夕食後、仲筋集落に種子取祭の奉納芸能の練習風景を見に行く。2017年には、作物が実ったことを感謝する結願祭が9月にあった後、すぐに種子取祭の準備が始まった。10月末に本番を控え、1カ月を切るとほぼ毎晩、女性は踊りの、男性は狂言の練習が続く。
豊作を祈るくわ入れや種子まきの所作が入るのは同じだが、集落によって三線と地謡(じかた)の音楽もテンポも異なる。鏡を見ながら、動作も呼吸を合わせての踊りは、練習風景だけでも感動する。
すべて、親から子へ孫へ、引き継いできたもの。小さいときからこうした厳しい練習を見て、本番の華やかな姿に子供たちは憧れるのだ。
世代を引き継ぐ祭り。真剣な奉納芸能の練習だが、これも島の暮らしの一部なのだと実感。本番のハレの舞台を見てみたいと心から思った。後篇では、伝統のミンサー織りを体験。竹富島に触れる旅は続く。
星のや竹富島
所在地 沖縄県八重山郡竹富町竹富
電話番号 0570-073-066
http://hoshinoyataketomijima.com/
小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel
Column
日本を遊ぼう! 星野リゾートで地方の魅力再発見
日本のさまざまな地方の隠れた魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。全国に展開されているその各施設を訪れ、その地ならではの遊び方、旅の仕方を再発見していきます。グルメ、自然、伝統工芸……、思いっきり日本を遊ぼう!
2017.10.21(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵