奉納芸能には集落のみんなが参加

竹富島の島人参と車海老が色鮮やかな器の上で美しくタルトに仕上げられて(11月からのメニュー。2017年10月21日現在はジュレを使ったモザイク仕立て)。

 「星のや竹富島」でのディナーは、琉球ヌーヴェルがテーマ。近海でとれたシーフードや、沖縄で育てられた豚などの厳選された素材を主役に、沖縄ならではの食材である島人参や島バナナなどを使い、フレンチの技法で仕上げている。

月桃の香りを移して焼いた今帰仁の豚のロース肉のオーブン焼き(11月からのメニュー)。肉は和牛と豚の2種類から選べる。

 そして、命草(ヌチグサと読み、長命草やフェンネル、ローズマリーなどのハーブを指す)やシークワーサーなどが香りを添える。メインの肉を2種類から選ぶことができる6品のコースにさらに2種類デザートが出る。お値段は12,000円(税・サ別)。

ヌベーという踊りの練習。拍子の合わせかたを先生と一緒に踊って覚える。

 夕食後、仲筋集落に種子取祭の奉納芸能の練習風景を見に行く。2017年には、作物が実ったことを感謝する結願祭が9月にあった後、すぐに種子取祭の準備が始まった。10月末に本番を控え、1カ月を切るとほぼ毎晩、女性は踊りの、男性は狂言の練習が続く。

8人で踊る竹富節。5円玉の入った金棒を手に、息の揃った動作が圧巻。
祖母から孫へ。踊りの指導をする師匠の島仲由美子さんとお孫さんの紅愛(くれあ)さん。

 豊作を祈るくわ入れや種子まきの所作が入るのは同じだが、集落によって三線と地謡(じかた)の音楽もテンポも異なる。鏡を見ながら、動作も呼吸を合わせての踊りは、練習風景だけでも感動する。

 すべて、親から子へ孫へ、引き継いできたもの。小さいときからこうした厳しい練習を見て、本番の華やかな姿に子供たちは憧れるのだ。

こちらの島在住の星のや竹富島のスタッフも種子取祭で今年は踊るそう。この日は、前に住んでいた集落の練習なので、彼女を慕う子どもたちに囲まれてたいへん。
ぴしっと動作が決まるまで、細かい所作の指導が続く。

 世代を引き継ぐ祭り。真剣な奉納芸能の練習だが、これも島の暮らしの一部なのだと実感。本番のハレの舞台を見てみたいと心から思った。後篇では、伝統のミンサー織りを体験。竹富島に触れる旅は続く。

こちらが種子取祭の本番の写真。この練習を経た踊りはどんなに美しいことだろう。

星のや竹富島
所在地 沖縄県八重山郡竹富町竹富
電話番号 0570-073-066
http://hoshinoyataketomijima.com/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

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2017.10.21(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵