■星のや竹富島(前篇)

 日本の地方の魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。その各施設を訪れ、地方らしい遊び方、旅の仕方を再発見していこうというシリーズが「日本を遊ぼう!」。

 今回ご紹介するのは、「星のや竹富島」。珊瑚の石垣に琉球赤瓦、集落のようなリゾートの中で、島の伝統の祭り「種子取祭(タナドゥイ)」を感じ、食し、楽しみます。

上陸後はまず「竹富島ゆがふ館」へ

八重山の島旅の起点、石垣島の離島ターミナルから船で竹富島へ。

 竹富島は日本南西端の八重山諸島にあって、そのなかで、空の玄関口「南ぬ島 石垣空港」のある石垣島に一番近い島である。

 石垣空港への到着後は、40分ほどバスに乗り、離島ターミナルへ。海を渡って行く島旅のはじまりは、いつもワクワクする。乗船時間わずか10分ほどで緑の島影が見えて、きれいな海が広がる港に船が入る。桟橋に着くと、ゆったりとした島の空気が漂う。

島に昔からある家のような竹富島ゆがふ館。

 この竹富港ターミナルから歩いてすぐの場所にある「竹富島ゆがふ館」は、島に着いたらぜひ立ち寄ってほしいところ。高い天井に美しい梁、伝統家屋のこのビジターセンターには、島の自然・暮らし、竹富島の歴史やまつりごとが、まるでミュージアムのように展示されている。

天井の高い心地よいゆがふ館の中。島の伝統文化や歴史を伝える場になっている。

 観光客にとってのみならず、島の子供たちにとっても、ここは島のことを学べる貴重な場所。

 島の生活用品であり工芸でもあるミンサー織りや、クバの大きな葉で作ったうちわ、月桃で編んだカゴなどが並び、土曜日には、おばあによる語りや手工芸のワークショップも。島言葉の辞典やオーディオ、祭事の写真や解説などを通じ、伝統を大事にする竹富島のこころにも触れることができる。

島のそこここにあるアダンの葉で編まれた素敵なカゴ。

 農業の島であった竹富島では、みんなで働き助け合うという意味の「うつぐみ」の精神がとても大事にされている。島がひとつにまとまる祭事も数多く年間20にも及ぶ。そのうち、秋に行われる最大の祭りが「種子取祭(タナドゥイ)」。種子をまき、それが無事に育つことを祈願するこの祭りは、600年以上の歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。

 陰暦に基づく種子取祭は、毎年開催期間が異なる。2017年は、祭りの手配を行う10月24日(火)のトゥルッキから始まって、11月1日(水)まで。奉納芸能が繰り広げられる10月30日(月)・31日(火)が最大の山場で、島外から2000人以上が訪れるという。

 「星のや竹富島」でも10月1日(日)からの1カ月間は、この「種子取祭」に親しむオリジナルのプログラムを開催している。

竹富島ゆがふ館
所在地 沖縄県八重山郡竹富町竹富
電話番号 0980-85-2488
http://www.taketomijima.jp/

2017.10.21(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵