1700年前に島にやってきた
キプロスの人なつこい猫たち

古くからワインが造られているオモドス村で、ワイン瓶の蓋の上でくつろぐ美人猫。

 ギリシャ神話でアフロディーテ(ヴィーナス)が誕生した島として知られるキプロス。この小さな島国では、ことさら猫が大切にされている。

オモドス村の道端で餌をもらった猫たち。こんなに近くにまで寄っても私のことなど気にもせず一心不乱にお食事中。
レモナ村の「ツァンガリーデス・ワイナリー」の猫はワイン樽の前で。

 島内にある「猫修道院」と称される聖ニコラオス修道院には200匹ほどの猫が暮らす。猫好きの聖地のような場所だ。

 ここは、今から約1700年前、ビザンチン帝国のコンスタンティヌス大帝の母ヘレナによって建てられた修道院。当時日照りが続き、井戸にまで巣食う蛇に苦しんでいた人々を救うため、数千匹もの猫を放して蛇を退治したと伝えられている。

左:立派な髭とつぶらな瞳で見上げられてハートをわしづかみにされた(笑)。
右:集会中? 海辺の町リマソルで餌をもらう猫たち。

 キプロスでは、聖ニコラオス修道院まで行かなくても島のあちらこちらで猫に遭遇できる。住民から餌をもらっている猫も何度も見かけた。猫の写真を撮ろうとしゃがみ込むと、餌をもらえると思うのか、突進してきてピントが合わないこともここではよくある出来事。人に慣れた猫がたくさん暮らしている。

猫に足をとめた小さな女の子。この後、後ろの猫たちを発見して大喜びだった。

 街中の遺跡のほとんどが世界遺産に登録されているパフォスで、海岸通りを歩いてパフォス城に向かっていたときのこと。人なつこい猫がいたので写真を撮った。そしてパフォス城からの帰り道、「あれ? どこかで見たような(笑)」。同じ猫が同じ場所でひなたぼっこしていたのだ。

左:パフォスの海岸通りで。行きに出会った猫に帰りも遭遇。
右:通りがかりのカップルが教えてくれたのは、後ろの植木鉢の中で寝ている猫。写真を撮っていたら顔を上げてくれた。

 植木鉢の前で写真を撮っていると、通りがかりのカップルが、「ここにも猫がいるよ」と教えてくれた。なんと、後ろにあった植木鉢の中にももう1匹猫がいたのだ! キプロスでは猫の被写体に困ることはない。今月末から特集連載を予定しているのでそちらもどうぞお楽しみに。

パフォス城の前で猫の写真を撮るヨーロピアンらしき女性。みんな猫が好き!

2017.08.22(火)
文・撮影=たかせ藍沙