世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第120回は、たかせ藍沙さんが、イスタンブール観光の鉄板メニューからラグジュアリーホテルでのハマムまで、大好きな街を味わい尽くします!

この美景が恋しくて、またイスタンブールへ

左:アジア大陸から昇る朝日をヨーロッパ大陸から望む。2016年1月現在、日本からの直行便は夜明け前に着くことが多いので、空港から旧市街に着いたら、まずはホテルの屋上に行くべし。
右:ブルー・モスクにも朝日が差してきた。早朝は人通りも少なく静かで、散歩にオススメ。

 何度行っても飽きない国や場所は、人によって好みが分かれるところ。私にとって、イスタンブールは何度でも訪ねたい街のひとつ。とくに、旧市街(スルタンアフメット)が大好き。絵になる街なので、朝に夕にカメラを持ってふらりと出かけることにしている。

ブルー・モスクの門の中から見たアヤソフィア。こんなに近い!

 旧市街には、歩いて10分程度の範囲内に、ビザンチン建築の最高傑作のアヤソフィア、世界でもっとも美しいモスクと称されるブルー・モスク(スルタンアフメット・ジャーミィ)、オスマン朝の栄華が残るトプカプ宮殿といった見どころがズラリ。街の真下には地下宮殿まである。バザール(屋根付き市場)の建物もタイムスリップしたかのような趣なのだ。路地を歩いているだけでも充分に楽しめる。

 旧市街でもっとも大きなバザールは「グランド・バザール」。洋服、靴、貴金属、ランプ、じゅうたん、食器、スイーツなどなど、3万平方メートルの敷地に約4500店舗がひしめき合っている世界最大級のバザールだ。

スパイス・バザールは、ほぼT字形のこぢんまりとしたバザール。迷うことはないはず。

 でも、私のお気に入りは「エジプシャン・バザール」。ここは、「スパイス・バザール」と呼ばれている。その名の通り、スパイス店を始めとする食料品がメインのバザールだ。

正面入り口から入ってまっすぐ、T字路を右に曲がった場所にあるアロマとコスメの専門店「ファル・パザル」。店頭にはオリーブオイルで作られた石けんなど、店内には各種アロマオイルが壁一面に並ぶ。ローズウォーターやバラの化粧品も種類が豊富だ。
ローズティもピンク、イエロー、赤と種類豊富に揃っている。もっとも香りが豊かなのはピンクのダマスクローズ。

 何が楽しいって、ここでは、ほぼすべての商品の試食ができるのだ! スパイスは試食しづらいけれど、ナッツ類、チーズ、スイーツなどは、味を確かめてから買うことができる。ローズティやフルーツティなど、バラエティ豊かなお茶は香りを確かめてから。場合によってはお湯を注いで試飲させてくれる。量り売りなので少量からでも買うことができるし、真空パックにしてくれるのでまとめ買いしても安心だ。

建物の外側にある老舗コーヒー店「メフメット・エフェンディ」。いつも長蛇の列だけれど、彼らが目にも留まらぬ速さでコーヒーを詰め、会計をしていくので待ち時間は短い。カメラを向けたら一瞬だけ手を止めてくれた。トルコ風コーヒーは、パウダー状のコーヒーを煮立ててからカップに注ぎ、上澄みを飲む。豆で買って普通に淹れても美味しい。
こちらも建物の外に並ぶチーズ専門店。すべて試食させてくれる。この、カニかまのような形状のチーズは私のお気に入り。フレッシュで弾力があって、白ワインによく合う。

 中にはりゅうちょうな日本語を話すスタッフがいるお店もあるので、言葉が心配なら日本語の看板や旗が立っているお店に行くのもいいだろう。

 最後に値段交渉も忘れずに。「3つ買うから端数は切り捨ててね」とか、「これもおまけに付けてよ」など、どんどん押してみよう。言葉では通じなかったら、彼が持っている電卓に数字を入れて交渉。「えー、それは無理!」などと言われても、粘ろう(笑)。粘り勝ちで安くしてくれることもある。ちなみに、この日私は、とあるお店で言い値より2割ほど安くしてもらった。

スパイス・バザールを楽しんでいたらすっかり暗くなった。ブルー・モスクとアヤソフィアの間にある噴水がライトアップされて、夜景も飽きない美しさ!

Fuar Pazari(ファル・パザル)
所在地 Misir Carsisi No.40/B Eminonu, Istanbul, Turkey
電話番号 0212-511-7488

Mahmet Efendi(メフメット・エフェンディ)
所在地 Tahmis Sok No.66 Eminonu, Istanbul, Turkey
電話番号 0212-511-4262

2016.01.12(火)
文・撮影=たかせ藍沙