夏本番、ビールのおいしい季節の到来です。都内のビアガーデンもいいけれど、少し足をのばして、クラフトビールのブルワリーを訪れるワンデイトリップへでかけませんか。出来たてのフレッシュなビールを味わえるのはもちろん、ビールに合う料理を楽しめるレストランを併設している、この夏絶対訪れたい人気銘柄のブルワリー3軒をセレクト。夏の昼下がり、最高の乾杯! を求める旅へ、いざ。

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Vol.03_湘南ビール(神奈川県・茅ヶ崎)

 フレッシュなビールとおいしいフードのペアリングを求めて――。レストラン併設のブルワリーを巡る夏旅を提案するこちらの特集。最終回となる今回は、湘南に残された最後の蔵元、熊澤酒造が手がける、神奈川県・茅ヶ崎「湘南ビール」のブルワリーが舞台。裏山と一体化した、自然たっぷりの開放的な空間で、夏の太陽とビールを楽しんで。

グリーンあふれるブルワリーで
“湘南スタイル”なビアタイム

 創業は明治5年。今では湘南唯一の蔵元となる熊澤酒造がビール作りをはじめたのは1996年。以来、湘南という地域に根ざした、「地元の誇りになるようなビールを作りたい」というモットーは変わらない。

入ってすぐ右手にあるのが醸造所。見学は応相談。必ず、事前に連絡を。

 豊富なラインナップで知られる「湘南ビール」だが、それまでは、老舗の蔵元らしく、伝統的なドイツスタイルのビール作りを行ってきた。ターニングポイントは、世界最高峰のワールドビアカップを受賞したとき(なお、これまで5度の受賞歴を持つ)。授賞式で訪れたアメリカで世界の多種多様なビールにふれ、より自由なビール作りがはじまった。

 現在は、ベルギースタイル、フルーツや地産の食材を使ったもの、海外のブルワリーとのコラボビールなども手がけ、そのラインナップは40~50種類にも及ぶ。新しいビールのアイデアは、ほぼブラウマイスターからの提案だとか。

人気の5種。左より:アルト、ピルスナー、ベルジャンスタウト、IPA、シュバルツ 各300ml 540円。

 そのすべてが、ろ過や加熱殺菌をしないピュアなビール。それ故に、品質保持期間は製造日より60日と短めだが、生きた酵母が醸し出すフレッシュなビール本来の風味は何物にも代え難いおいしさ。

神奈川の地名にちなんだオリジナルラベルも人気。左より:「大磯ビール(ピルスナー)」、「江ノ島ラベル(アルト)」、「大仏ビール(シュヴァルツ)」 各300ml 540円。

 ブルワリーは大正時代より酒蔵として使われていた場所に佇む。中央のテラス席を囲うように、趣の異なるレストランとショップが5軒連なる。昔の名残が残るレトロなムードと裏山の大自然がもたらす開放感とあいまって、まるでタイムトラベルしたような感覚に。

中央のテラス席。屋外で飲むビールも最高!
緑豊かな敷地内。毎年少しずつ木を植え、石を敷き詰めて、現在のような景観を築いたそう。
当時の生活が垣間見える名残が至るところに。ブルワリー内の散策も楽しい。

 2ページと3ページでは、ブルワリー併設のレストランとショップより、トラットリア、ベーカー&スイーツ、ヴルスト カフェの3軒をピックアップしてご紹介。

湘南ビール(熊澤酒造株式会社内)
所在地 神奈川県茅ヶ崎市香川7-10-7
※ビール工場内の見学は応相談。希望する場合はレストラン予約時に相談を。
http://www.kumazawa.jp/

2017.08.12(土)
文=吉村セイラ
撮影=佐藤 亘