夏本番、ビールのおいしい季節の到来です。都内のビアガーデンもいいけれど、少し足をのばして、クラフトビールのブルワリーを訪れるワンデイトリップへでかけませんか。出来たてのフレッシュなビールを味わえるのはもちろん、ビールに合う料理を楽しめるレストランを併設している、この夏絶対訪れたい人気銘柄のブルワリー3軒をセレクト。夏の昼下がり、最高の乾杯! を求める旅へ、いざ。

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Vol.02_常陸野ネストビール(茨城県・那珂)

 レストラン併設のブルワリーを巡る、夏のワンデイトリップ。第2回は、ふくろうのロゴでおなじみ、茨城県・那珂「常陸野ネストビール」を訪問。手造りビール工房で自分だけのオリジナルビールを仕込んだり、地産の蕎麦とビールを楽しんだり、きき酒処で試飲をしたりと、過ごし方はさまざま。旅の締めは出来たばかりのビアカフェへ。

酒蔵を改築した風情ある趣の中で
ここだけの“ビール作り&食体験”を

 日本はもとより世界のコンテストで受賞、愛らしいふくろうのロゴとあいまって、多くの人に知られる「常陸野ネストビール」。手掛けるのは、1823年創業、酒造り190年超の老舗である木内酒造。1994年の酒税法の改正にともない、ビール作りをはじめたのが誕生のきっかけ。

 かつてビール麦の産地だった茨城。そのことにも後押しされて、茨城に根ざしたクラフトビール造りがはじまった。

 日本酒の製造で培った確かな技術と丁寧な手仕事をベースに、柔軟なアイデアが相乗され、個性派が集うクラフトビール業界においても、そのユニークさと実力であっという間にビールファンの心をキャッチした。

きき酒処横の直売所には、常陸野ネストビールのほとんどの種類のほか、シードルなども揃う。左より:「バレルエディション レッドライスエール」1,600円(750ml)、「セゾン ドゥ ジャポン」380円(330ml)、「常陸野シードル」800円(550ml)、「ニッポニア」750円(550ml)。

 それは、直売所に陳列されたラインナップを見れば一目瞭然。なかでも個性的な4種がこちら。

 上の写真の左より、古代米「朝紫」を使用、日本の伝統色のような淡い紅色がきれいな「レッドライスエール」。清酒酵母とビール酵母によって二段発酵、ゆず果汁がアクセントの「セゾン ドゥ ジャポン」。国産リンゴを使った「常陸野シードル」 。日本のビール麦の原種「金子ゴールデン」と、日本で育種されていたホップ「ソラチエース」という2つの日本オリジナル原料から醸造した「ニッポニア」。

 “カンバセーションビール”になりそうな個性的なラインナップは、パーティのおもたせやギフトにも最適!

 ブルワリーは、米蔵と酒蔵だった場所を、風情ある趣はそのままに改築。本格的なクラフトビール作りを体験できる「手造りビール工房」、手打ち蕎麦とビールを楽しめる食事処「蔵+蕎麦 な嘉屋」と、ここでしかできない体験が待っている。

 早速、「手造りビール工房」へ。

バリエーションは無限大!
世界でひとつのマイビールを作る

 「手造りビール工房」は、こちらのブルワリーのハイライト。1回につき最小15リットル、約45本(330ミリリットル)からオリジナルビールを作ることができる。

 驚くべきはその自由度。味・香り・色はもちろん、アルコール度数、苦みまでも細かくオーダーできる。ビール作りの醍醐味である「仕込み」も自身の手で行える本格派。材料も、実際にネストビールで使われている原料を用いるので、本物さながらの仕上がりに。

「手造りビール工房」があるのは、木内酒造の酒蔵だった建物。情緒ある空間が気分をもりあげてくれる。
まずビールの主体となる、4つのベーススタイル(写真奥・左より:ペールエール、スイートスタウト、ホワイトエール、アンバーエール)を、試飲しながら選ぶ。アロマは9種のホップよりチョイス。工房のスタッフと相談して、好みやイメージに合わせたレシピを考えることも出来る。

 副原料は工房で用意しているなかから選べるほか、事前に相談すれば好きな材料を入れることも可能。農家の方が自分の田畑で採れた米でライスビールを作ったり、地産のレモンを入れたり。季節のフルーツや、シナモン、唐辛子、コショウなどスパイス系も人気だとか。今の季節なら、桃や柑橘系もよさそう!

副原料(モルトとホップ以外の原料)は、オレンジピール、ナツメグ、コリアンダーの3種を用意。
できたビールのレシピに沿って、計量したモルトをその場で破砕。工房内の釜を使い、麦芽の糖化、ろ過といった「仕込み」作業も行える。
ラベルも自由にデザインできる。テンプレートから選べるほか、後でデータを作成して送付することも可能。

 ビールを作りながら学べる。知ればもっとビールが好きになる。作っているときのワクワク、出来上がりを飲むときのドキドキ……。そんな世界にひとつだけのマイビール作り、ぜひトライしてみては。

 次ページでは、手打ち蕎麦 × ビールを堪能!

2017.08.05(土)
文=吉村セイラ
撮影=佐藤 亘