客室はアリスがモチーフの全9室
インテリアにも機能性にも心配りが

 インテリアが異なる9つの客室は、「チェシャーキャット」や「ホワイトラビット」など、アリスにちなんだ名前がつけられ、その名前に合ったインテリアが施されています。例えば「マッドハッター」の部屋には、マッドハッターのティー・パーティーにちなんで、アンティークのお皿がディスプレイされているのです。

客室「ホワイトラビット」には、シープスキン素材のキングサイズ・ベッドが置かれています。 (C) Glazebrook House

 シャワールームやバスルームは床暖房でぬくぬく。設定パネルで温度も簡単に調整できるほか、部屋のライティングをモード調整できる設定パネルも。各部屋にはiPadが設置されているので、メールやネットサーフィンが気軽に利用できるのも嬉しいところです。もちろんコーヒーと紅茶のセットも完備されており、部屋での時間を快適に過ごすことができます。

「マーチヘア」と名づけられた部屋のベッドルーム。 (C) Glazebrook House

ミシュラン・スターもリーチの範囲!?
若き地元出身シェフの手による美食

 視覚に働きかけるサプライズがもりだくさんのグレイズブルック・ハウスですが、味覚のインパクトも負けていません。宿泊客のみならず、地元の美食家が集うレストランは、Food and Drink Devonのベスト・ホテル・レストランをはじめ、数々のアワードを受賞しているのです。

アクティング・ヘッド・シェフのジョシュ・アクランドさん。 (C) Glazebrook House

 厨房を率いるのは、地元イングランド南西部出身のジョシュ・アクランドさん。

 幼い頃から趣味の魚釣りが高じて、釣った魚を料理することが好きだったジョシュさんは、14歳からこの道に入り、コーンウォールのカフェやパブ、レストランなどで修業を積んだのち、地元のスターシェフ、タナー兄弟のレストラン、バービカン・キッチンで、本格的に料理への情熱に目覚めたとのこと。

 2014年にグレイズブルック・ハウスのオープンと同時に、厨房内では3番目のポジションである部門シェフとしてチームに加わり、1年半後には副料理長に、そして今年アクティング・ヘッド・シェフへと昇格しました。

テーブルまわりはシックですが、やや視界を広げるとやはりユニークなレストランのインテリア。 (C) Glazebrook House(写真右)
こんなシンプルな朝食もオーダーできます。半熟タマゴの頭をちょっぴり割って、焼きたてトーストを浸して召し上がれ。

 ジョシュさんのお料理は、どれも繊細かつ小さな意外性が心地よい調和の取れたものばかり。

 例えば、ジンジャーブレッドにヤギのチーズ、ビーツとクルミといった食材を組み合わせ、甘さと塩気の絶妙なバランスを実現させたり、地元産のジンで保存処理したサーモンに、カクテルの組み合わせを思わせるトニックウォーターで香り付けしたキュウリとフェネル、さらにカニ肉を合わせたりと、独創的でありながらどこか安心感のあるお料理を供しています。

 食材はもちろん、デヴォン産が中心。

繊細かつ洗練されているお料理の数々。かゆいところに手が届く味付けは絶妙。 (C) Glazebrook House

 そんなジョシュさんの逸品を、あれもこれもちょっとずつ試したい人におすすめなのが、8コース・テイスターです。

 前菜も魚料理も肉料理もデザートも、小さなポーションが8品、まるで計算され尽くした音楽のような絶妙な構成で、目の前に運ばれてきます。8コース・テイスターはシーズンごとに品目が入れ替わるそうなので、季節が変わるたびにリピートしたい気分にさせられます。

Glazebrook House
(グレイズブルック・ハウス)

所在地 South Brent, Devon, TQ10 9JE
電話番号 01364-73322
http://www.glazebrookhouse.com/

2017.05.28(日)
文・撮影=安田和代