フードライターの北條芽以さんが、ひとりごはんを楽しくさせてくれる、喫茶店のたまごサンドウィッチについて案内してくれました。

» 第2回 悪魔のようなおいしさ「虎ノ門 3206」
» 第3回 フワフワな口当たり「カヤバ珈琲」

外でひとりごはんを食べるなら
喫茶店のたまごサンド一択です

 フードライターという職業柄よろしくはないのですが、実はひとりで外食をするのが苦手です。外でお腹が空いたときは、喫茶店へ。そして空腹を満たしてくれるのが、ほかならぬたまごサンドなのです。

 たまごサンドを食べるときは、たまごサンドとふたりきり。出てきたたまごサンドと対峙し、「ほう、ここは白身が粗めね」「このバターのひと塗りが効いている!」などと、ひっそりと小さな探究心を燃やします。気に入った相手とは再会したくなり、またじっと向き合い、コンディションを確認してみたりもします。

 たまごサンドはさりげなく作られている場合も多いのですが、なぜかぎょっと驚くようなものも多いんです。有名なのが「喫茶 アメリカン」で、その堂々たる佇まいには全国からファンが集まります。「デビル」の名を冠した「虎ノ門3206」のたまごサンドの“たまごダブル使い”に出会ったときは、その贅沢さに震えました。逆に「カヤバ珈琲」では、端正な美しさにほっとさせられます。

 苦手なひとりごはんを楽しくさせてくれる喫茶店のたまごサンド。この場を借りていつもありがとう。

見かけの迫力だけではない実力の味わい

◆ 喫茶 アメリカン

タマゴサンド 500円(税込)。

 いわゆる3斤食パンを1/3、つまり1斤使うという類を見ない分厚さ。卵は1食に4個以上使われている(のではないか)という。しかし、人気の秘密は巨大さだけではない。1日2回届く焼き立てパンを使い、食パンがフカフカであること。たまごは粗めにカットし、マヨネーズは大量に。この完璧なコントラストが多くのファンを惹きつけている。

喫茶 アメリカン
所在地 東京都中央区銀座4-11-7
電話番号 03-3542-0922
営業時間 8:30頃~15:30頃(売り切れ次第閉店)
定休日 土・日・祝
席数 約20席
※禁煙

●今回の案内人は……

北條芽以(ほうじょう めい)さん
フードライター。CREAでは主に食系の記事を担当。初めて作った料理は、おそらくタルタルのたまごサンド。あまり好きじゃないからほぼ出番のないマヨネーズは、突発的たまごサンド欲のための備え。

2016.10.24(月)
Text=Mei Hojo
Photographs=Yosuke Suzuki

CREA 2016年11月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

喫茶店とコーヒーがそこにある幸せ

CREA 2016年11月号

一杯がもたらす最高の癒し
喫茶店とコーヒーがそこにある幸せ

定価780円