純喫茶女子・難波里奈さんが読みたい本を片手に訪れる、東京の選りすぐりの喫茶店4店をご紹介します。
» 第1回 【神保町】4色揃ったクリームソーダ「さぼうる」
» 第2回 【吉祥寺】レモンの黄色が映える「茶房 武蔵野文庫」
» 第4回 【学芸大学】地元で長く愛されてきた「マッターホーン」
◆ 銀座ウエスト 銀座本店
文豪も通ったエレガントな銀座の老舗
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銀座の外堀通り沿い、青字に白抜きの看板が上品な銀座ウエスト銀座本店の喫茶室。先代の店主が親しかったという作家の林芙美子が通ったことでも知られる。
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右:週刊の小冊子『風の詩』には林芙美子が文章や寸評を書いたことも。
白と茶色を基調にしたシックな雰囲気は若干の敷居の高さに気持ちが華やぎ、ボリュームを絞ったクラシックのBGMは、いわゆる「音のカーテン」で読書にちょうどよい。無添加がモットーのこちらでは、着色料も甘味料も使わない無色透明のクリームソーダが見た目も涼しく爽やか。
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金色のロゴ入りグラスに白い受け皿、細いストロー、取っ手を手前に付け替えたシルバーのミルクピッチャー(ガムシロップはお好みで)といった小道具がトータルでムードを醸し出す。氷は一つだけ、砕かずに。美しい時間で心にもご褒美を。
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● クリームソーダを飲みながら読みたい本
『ごはんのことばかり100話とちょっと』
家族のために作る家庭料理や日々の暮らしの中で口にする食べものを生活のスケッチとして綴ったエッセイ集。おまけのレシピ付き。
よしもとばなな 朝日新聞出版 500円
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nanba's ここがいい!
正統派喫茶店ならではの清潔感があり、珈琲がおかわりできてゆったり居られるところも好きです。無色透明のソーダが本を読み終わる頃には乳白色に濁っているのも愛おしい。文庫本を片手にいつもより背筋を伸ばして。
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銀座ウエスト 銀座本店
所在地 東京都中央区銀座7-3-6
電話番号 03-3571-1554
営業時間 9:00~23:00、土日祝 11:00~20:00
定休日 無休
クリームソーダ 1,188円
URL http://www.ginza-west.co.jp/
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● 今回お話を伺ったのは・・・
難波里奈(なんばりな)さん
東京喫茶店研究所二代目所長。純喫茶をこよなく愛し日本全国を訪ね歩く『純喫茶コレクション』(PARCO出版)の著者。二冊目となるさらにディープな集大成『純喫茶へ、1000軒』(アスペクト)も発売中。
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クリームソーダと楽しむ読書
選りすぐりの東京喫茶店アドレス
2015.08.24(月)
text=Chisato Nasu
photographs=Tamon Matsuzono
CREA 2015年9月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。