歌舞伎テイストを加えたサンジのキャラ
――さて、今回上映される「シネマ歌舞伎『スーパー歌舞伎II ワンピース』」では人気キャラのサンジを演じていますが、舞台で演じる際に、心がけた点を教えてください。
僕自身、原作が大好きなので、できるだけ忠実に演じたいと思う“原作愛”があると同時に、ただのコスプレにならないように心がけました。あと、サンジはもともと和風の要素がないので、どれだけ歌舞伎の要素を入れられるか、というのを考えました。トレードマークの紙巻きタバコをキセルに変えたり、スーツの上に和風の柄を入れたどてらを羽織ったり、化粧も歌舞伎風に変えたりしています。
――また、両性具有のキャラ、イナズマも演じられ、滝に打たれながらの立廻りという見せ場も披露しています。
イナズマは原作ではあまりクローズアップされていないキャラなんですが、美しい両性具有のキャラなので、メイクは牛若丸をイメージし、喋り方は男っぽい強さを出しながら、歩き方は内股だったり、手の動きをしなやかにしたりしています。また、立廻りで使う、小道具でのこだわりがあって、イナズマはハサミ人間という設定なので、二刀流の刀を重ねるとハサミになるようにしました。これには原作ファンの方も喜んでくださっていましたね。
――そのほか、上演時の評判や意見、またはこの舞台に立ったことでご自身が感じたことを教えてください。
サンジの立廻りは回し蹴りや飛び蹴りがあるように、どちらかというと現代風。反対に、イナズマは現代的な立廻りがなくて古典風。どちらの立廻りも観られたというご意見や、イナズマの滝の中での大立廻りで、歌舞伎のスゴさを知ることができたというご意見もありました。歌舞伎俳優は、それまでの経験に従ってお役がつくことが多いんですが、僕は座組みの中でいちばん年下ということが多いです。今回は(主演・演出の市川)猿之助お兄さんに声をかけていただき、大劇場で伸び伸びと大きなお役を演じ、大立廻りをやらせていただくことができました。これは大きな経験になったと思います。
2016.10.21(金)
文=くれい響
撮影=深野未季
スタイリスト=九(Yolken/東京都港区元麻布3-1-35 グランカーサ六本木B2F、03-6804-2624)
ヘアメイク=佐藤健行(HAPP'S)