芸能界で活動する仲間の存在に助けられた高校時代

――ちなみに、自ら選んだ堀越学園での高校時代はいかがでしたか?

 自分なりに濃い高校生活を送れたと思います。なぜなら、僕が舞台の合間に高校に通っていたように、連続ドラマやコンサートに出演している合間に高校に通っていた友人の存在が大きかったから。自分と同じ境遇だったことに励まされましたし、助けられたと思います。仲のいい同級生とは今でも毎日連絡を取り合っています。お互い小さい頃からこの世界にいるので、いろんなものに揉まれている感覚が共通するのではないでしょうか。

――さて、隼人さんにとって転機となった舞台について教えてください。

 たくさんありますね。まずは高校2年生のときに「重戀雪関扉」でつとめた宗貞ですね。先程も触れたように、本格的に歌舞伎の道に進もうと思うきっかけとなった玉三郎のおじさまの相手役、それも立役(男性の役)をやらせていただいたことも印象的でした。それ以降、立役がメインになってきたので、玉三郎のおじさまにある種のライン(道筋)を引いていただいた気もするんです。その後は、「女清玄(隅田川花御所染)」という演目で、(中村)福助のおじさまの相手役として(吉田)松若丸をやらせていただいたことも転機になりましたね。

――09年にはNHKドラマ「陽炎の辻3 ~居眠り磐音 江戸双紙~」に出演され、映像の世界にも進出されましたが、いかがでしたか?

 個人的には、大河ドラマの「龍馬伝」と「八重の桜」に出演させていただいたことが印象に残っています。それまで歌舞伎の世界しか知りませんでしたから、こんなにも色々な俳優さんがいて、色々な芝居があることを知り、一気に世界が広がりました。そして、映像への映り方も考えるようになりました。ただ、時代劇と歌舞伎は演じ方が似ていて、どちらとも言葉に抑揚をつけてもおかしくないんです。そういった意味では「せいせいするほど、愛してる」で初めて現代劇の連続ドラマにレギュラー出演したことで、演じ分け方のようなものが分かってきたかもしれません。

2016.10.21(金)
文=くれい響
撮影=深野未季
スタイリスト=九(Yolken/東京都港区元麻布3-1-35 グランカーサ六本木B2F、03-6804-2624)
ヘアメイク=佐藤健行(HAPP'S)