【WOMAN】
共通する気持ちは罪悪感……ホントにそれだけ?
愛していた妹・春が病死した。生き甲斐をなくした夏美の前に、妹の婚約者・冬吾が現れ一族の意向を告げる。もともと、家同士の見合いだった。妹が死んだのなら、その姉と付き合ってみてはどうか? 「血も涙もない鬼畜生だと思った」。その思いを呑み込んで、夏美は交際の条件を提示する。「春と二人で行った場所にわたしを連れて行ってくれませんか」。妹の思い出を辿る、不思議なデートの日々が始まる。
第2話では、冬吾の側から物語が語られる。彼は婚約者の姉である夏美のことが、ずっと前から好きだった。その気持ちを、今や本人も感づいている。夏美自身の気持ちは? 第3話で間接的に語られるだけだ。でも、物語全体を通して伝わってくる気持ちは──好きだからこそ、恋してはいけない。
妹の呪いを、いかにして解くか。過去に囚われず、前を向いて歩いていけるのか? 彼女が殻を破る瞬間を、息を潜めて待ちたい。
『春の呪い』(既刊1巻) 小西明日翔
妹の春が婚約した。「春がわたしを置いて行ってしまう…その男を殺してやりたいとすら思った」。妹が19歳の若さで死んだ後、姉の夏美は、その男と付き合うことになる。それは何故か? デートを重ねるうちに、変化し始めた思いとは……。『月刊コミックゼロサム』連載中。
一迅社 580円
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Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2016.09.05(月)
文=吉田大助