雨が降ったらお寺へ! ギター和尚の説法に感動

お寺のご住職のイメージからはかけ離れているけれど、「仏教ってなに?」「生きるってなに?」ということを、たった1時間の説法で分かりやすく教えてくれるギター和尚。

 あいにくの雨で、山での野草探しもウォーキングもできない……。そんなときでもがっかりする必要はない。上天草には、全国から年間2万人が訪れるという、大人気のお寺があるのだ。雨が降ってしまったら、ここを訪ねてみるのはどうだろう。

 参拝客が絶えないのは、向陽寺。5代目住職、渡辺紀生さんの愛称は、「ギター和尚」。木魚も叩くけれど、かつてバンドで鳴らしたギターの腕前も一流なのだ。抱腹絶倒の説法の最後には、名曲やオリジナルの歌を披露してくれる。

一見すると地域のお寺。ここには全国から年間2万人もの参拝客が押し寄せる。

 約1時間の説法は、笑いをとりつつも、生きる道や仏教を分かりやすく教えてくれる。「仏の道はあの世のことではなく、今を生きる道」「人生で一番若いのは今日。時間は取り返せないのだから今を楽しもう!」 そんなポジティブな説法に、ハッピーな気持ちになる。

 「一番伝えたいことは、人間に万歳! ということ。悩みのない人なんてこの世に一人もいません。だったら、せっかく生まれてきたんだもの、笑って暮らしたいじゃないですか」と和尚。

左:ギター和尚こと渡辺紀生さん。日頃は、ご住職としてのお勤めもされながら、熊本地震の復興のために奔走したり、地元のイベントに参加したりと大忙しだ。
右:木魚の隣に置かれているのは、愛用のギター、オベーション。

 向陽寺は江戸時代中期に建てられた観音堂をルーツとする、歴史あるお寺。お寺として地域の人々に親しまれながらも、「仏教は難しい」「説法は退屈」というイメージを変えようと、このユニークな説法を始めたのだそう。

説法は無料と太っ腹。お布施のお返しは、和尚様の心のこもったお手製オリジナルグッズ。

曹洞宗大悲山 向陽寺
所在地 熊本県上天草市松島町合津2856
電話番号 0969-56-0200(説法は電話で要予約)

【取材協力】
上天草市 観光おもてなし課

電話番号 0964-26-5512
URL http://www.city.kamiamakusa.kumamoto.jp/q/list/129.html

天草市
URL http://www.city.amakusa.kumamoto.jp/

一般社団法人 天草宝島観光協会
URL http://www.t-island.jp/

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn