オーガニックカフェに行ってみたら……

しまお 次のお題は「甲冑NOW」です。

ジェーン ナウの甲冑。

しまお ルーズソックスのブームのあと、私は「冷えとり靴下」やりましたけど。

ジェーン ああ。靴下重ねました?

しまお 重ねました。

ジェーン イデオロギーとしての重ねばき。

しまお まあ、やってよかったなと思ってるけど、やっぱりいちいち「おもねってしまった」っていう後ろめたさみたいなものを感じてしまって……。それがすごいくつらいんですよね。素直にやれてる人がすごくうらやましくて。

ジェーン 何かを試しては後ろめたさを感じる、と。

しまお みんながやってて、「いいな、私もやろうかな、やらないかな、どうしようかな、やったらちょっと恥ずかしいな」って悩んで、結局ちょっと遅れて乗って、乗ったはいいけど、なんかまたちょっと違うかなって。

ジェーン ヨガとかもね。

しまお 私、ヨガは乗ってないよ。岩盤浴は行ったけど。

ジェーン ヨガは悪くないんだよ。悪いのは私。

しまお でも、それつらくないですか? ヨガが悪いっていうことにしたくないですか?

ジェーン 前はしてたの。だけど、実際やってみたらヨガは悪くなかった。悪いのは私だった。性根がひん曲がってて駄目だった。

しまお そうなんですよね。

ジェーン あとオーガニックね。「はいはい、オーガニック、オーガニック」って。

しまお 「はいはい」っていいながらそっちにも行ってますよね。

ジェーン 「はいはい、オーガニックね。豆乳のドレッシング? はいはい、うまいんだかまずいんだかわかんねえな」とかいいながら、そういうものにあえて乗っちゃってる自分を鼻で笑うみたいな。何重に保険かけりゃ私はオーガニックが食べられるんだ? という状態だったのが、仕事場のそばにオーガニックカフェができて、食べたら「新鮮な野菜は普通にうまい」っていうのがわかって(笑)。(talk03に続く)

ジェーン・スー
作詞家/ラジオパーソナリティ/コラムニスト。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)、『ジェーン・スー 相談は踊る』(ポプラ社)など。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で第31回講談社エッセイ賞を受賞。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月~金、11:00~13:00)が放送中。

しまおまほ
エッセイスト。1997年に漫画『女子高生ゴリコ』(扶桑社)でデビュー後、漫画やエッセイを執筆する他、TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」にレギュラー出演するなど、幅広く活躍を続ける。現在、「文學界」に小説「スーベニア」を連載中。著書に『マイ・リトル・世田谷』(スペースシャワーネットワーク)など。

女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。

著 ジェーン・スー
本体1,300円+税 文藝春秋

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