世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第127回は、これまでの豪華客船クルーズのイメージを覆す、自由な魅力にあふれた新しい旅を、大沢さつきさんがご紹介します!

面倒なドレスコードもマナーも一切不要!

クルーズといえば地中海。青い海に白い教会のギリシア、サントリーニ島は“テッパン”の人気。
シチリア島も人気のデスティネーション。タオルミーナの古代劇場を見たら、街でウニパスタを食べてから帰船かな~。

 世界のクルーズトラベラーが年間2000万人を超え、とくにアジアでは2桁成長もの人気とか。そんなクルーズ人気の中でも気になるのが“フリースタイルのクルーズ”。自由度満載のこのクルーズスタイルは、従来の豪華客船クルーズのイメージを打破したもので、最近とみに話題だ。

 “フリースタイルのクルーズ”はまず、とにかくカジュアル。従来の豪華客船クルーズのような、ドレスコードやマナーなど面倒なことは一切パス。24時間リゾートカジュアルな服装でOKというものだ。これ、けっこう大きな特徴で、荷物も少なくなるし、何より煩わしいことから解放される。

 とはいえもちろん、ドレスアップしてファッションを楽しむのもあり。気分に応じて服装が選べる自由が確保されると、旅はいっそう楽しくなる。

去年建造されたノルウェージャン エスケープ号のワインストック。たっぷり飲み明かせそう。

 そして、最大ポイントともいえるのが、好きな時間に好きなレストランで食事ができること。

 えっ? と思う人もいるかもしれないが、豪華客船クルーズの多くが、指定の食事時間に、指定のレストランで、指定の席で食事をするよう決められる。この団体行動はけっこうシンドイが、フリースタイルならば24時間好きなときに食事ができる。もちろん24時間のルームサービスも用意されている。

昨年リノベートされたノルウェージャン エピック号のリュクスな雰囲気のヘブン・レストラン。

 さらに注目なのが、“おひとりさま”歓迎のクルーズも登場していること。すべてのフリースタイルに適用されているわけではないが、いままで1キャビン2名使用が原則だったクルーズに大きな変化がもたらされた。クルーズの中には、シングルオンリーのバーもあって、これが大盛況とか。

 まさに“出会い系クルーズ”なのだが、ネットと違い乗船客の身元は船会社が管理しているので、そうそう危険なことはない。もちろんハメを外しすぎるのは……ではあるけれど。

2016.03.22(火)
文・撮影=大沢さつき