「じゃあ、行ってみる? 例の和室」
ほどなく到着した住宅地は、話に聞いていた80年代当時のきらびやかな面影はほとんどなく、コンクリートの坂道の両側には手入れのされていない雑草が幾重にもはみ出していました。
いくつかの家は明かりが灯っていたものの、ほとんどが空き家。坂を登りきった上にあった“ダンボールの家”にも当然人の気配はありません。
噂で聞いていた70年代風の家の外装も今や雨風にさらされて薄汚れており、玄関周りにも背の高い雑草が生い茂っていました。
それらを手で払いのけながら恐る恐るドアノブに手をかけたKさん一行。
カチャリ。
鍵はかかっておらず、ドアはすんなりと開きました。
「あれ……なんか思ったよりも……」
中は綺麗でした。
何十年も前の空き家で、一家失踪当時はゴミが散乱していたと聞いていたので、この意外な光景にKさんたちは面食らってしまったそうです。
しばらく中を探索したものの、正直単なる空き家という印象で、心霊スポット特有の不気味な空気は感じられませんでした。
「じゃあ、行ってみる? 例の和室」
なんとか怖い雰囲気を盛り上げようと、Kさんは早々にメインイベントである和室の探索を提案しました。
「え、なんだよ。ないじゃん、ダンボール」
「マジかよ……てか、考えたら何十年もあるわけないか。事件当時に警察が持っていっちゃうよな、普通に考えて」
和室にめぼしいものは何もなく、ただ生気なく口を開けているかのようにガランとしていました。









