スマホに届いたメッセージ

 カチャ、ガチャン。

 ペタッ、ペタッ、ペタッ。

 突然、隣の部屋からドアを開けて誰かが出てくる音が聞こえました。

 他の社員さんたちは気づいていないようでしたが、Kさんだけはあの話を思い出して全身の血の気が引くのがわかったそうです。

 しかし、玄関を指で叩く音は聞こえてきません。代わりに聞こえたのはエレベーターが下の階に降っていく微かな物音でした。

 それからさらに数分が経ち、皆がまたポツポツと鍋を突き始めた頃、1人の社員さんが怯えた声で言いました。

「え、何これ……」

 その男性が向けたスマホ画面には、Aさんからの1通のメッセージが表示されていました。

《今、目が合ってます》

 絶句するKさんを見た他の社員さんたちは、改めて彼女に何が起こっているのかを問い正したそうです。

 Kさんは正直にAさんから聞かされた話の顛末を話しました。

 騒然となる室内。

 口々に今後の動向や女の正体について議論する中、数名の男性社員たちが隣の部屋を尋ねるために部屋を出ていきました。ほどなくして戻った彼らはこう言ったそうです。

「隣の部屋、鍵開きっぱなしで、多分誰もいないぞ……」

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