――事業が縮小していく不安はなかったですか。

橋本 数字を求められる仕事やSNSをバズらせることは間違いなくお金にはなっていたんですけど、この稼ぎ方は今の自分には苦しいな、と思ってやめちゃいました。

 それでも子どもは育てないといけないし、社員も食べさせなきゃいけないので、新しい道に進むしかないと、昔の自分とは違う働き方で頑張ってます。

「胸を見る度にため息が出る感じだった」それでも乳がんになった経験を“良かった”と思える理由

――乳がんから1年を経て、今の自分の胸をどんな風に感じますか。

橋本 最初こそ、乳頭がなくなった胸を見る度にため息が出るような感じだったんですけど、だんだん自分のマインドも変わって、ないものを追いかけるんじゃなくて、あるものを見ようという気持ちになったので、今は悲しいとか、そういう感情はないですね。

――がんをきっかけに価値観の変化がある中で、読む本も変わった?

橋本 というより、前はまったく本を読まなかったんですけど、読むようになりました(笑)。もっと勉強したい、中身を詰めたい、という方向にいきまして、今は「化学分析技能士」という国家資格と、「化粧品総括製造販売責任者」を4年以内にとることを目標に、勉強をはじめています。

 化粧品に含まれる成分の安全性を自分でチェックして、安心して楽しめるコスメを作る。その原点となったがんの経験と合わせて、いろんな人にシェアしていきたいなと思っています。

――今は、がんの経験をポジティブに受け止めている?

橋本 そうですね。2人目の子どもがほしかったので、子宮頸がんにはならないほうが良かったんですけど、乳がんに関しては、むしろなって良かったとすら思ってるかな。

 会社やインフルエンサーとしての在り方にも、「真っ当な道を選択する」という指針ができたので、失ったもの以上に得たものの方が大きいと感じています。そんな背中を、息子にも見せていきたいですね。

 病気になったことで自分の薄っぺらさに気づけたし、がんになってなかったらろくでもない人間になっていた気がします、本当に(笑)。

写真提供=橋本実花さん

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