「胸も小さい方ではなかったし、自信のあるパーツだったけど…」がんを経験して変化した容姿への価値観
――美容クリニックにも通われていたそうで。
橋本 はい。リフトアップしたり、ボトックス注射をしたり、いろいろやってました。
でも、そんな最中に乳がんになって、右の乳房も乳頭も全部取らなくちゃという状況になったことで、「自分がやってきた美容って一体……」と思わざるを得なくて。
たばこもお酒もやらず、わりと健康的な生活を送っている自分が、他の人よりもたくさんやってきたことって何だろうって考えたら、やっぱりネイルや美容なんですよね。
それで改めて調べてみたら、ネイルのダストやアセトンという溶剤とか、有害なものを日々、浴びていたこともわかって、美容というものに一気に疲れたんです。
――美を突き詰めた結果、実は悪影響もあったのではないか、と考えてしまった時期もあったんですね。
橋本 もちろん、直接的に美容ががんの原因になったかどうかはわからないけど、色々言われてストレスを溜めて、子宮も胸も取ることになって、きれいでいるためにやってきた結果がこれかよ、みたいに思ってしまったんですよね。
あと、胸も小さい方ではなかったし、自信のあるパーツだったんですけど、乳がんになったことで、「そもそも胸ありきで生きているって何なん」とも思えてきて(笑)。
「この稼ぎ方は今の自分には苦しい」がん経験後、バズるための発信をやめたワケ
――実用性でいうと、本当に必要になるのは授乳くらいで。
橋本 突き詰めるとそういうことで、なんというか、乳がんになったことで、自分がいかに“ガワ”だけで生きてきたかを思い知ったんです。
ただ、それでもやっぱり自分を突き動かしてきたのは美容だったから、「これからは安全に楽しめるコスメを提供するのが自分の使命だ!」と入院中に強く思いまして、病室でもずっと仕事をしていました(笑)。
――どんな状況でも仕事はしたかった?
橋本 小さい会社なので、せざるを得なかった、というのが実際ですね。
ただ、それまではみんなに伝えたいこともないけど、とにかくバズらせるために発信していた部分もあり、結局、何のためにもなってないよなと思って、そういう発信は全部やめてしまいました。
