非日常的な罪悪感にまみれながらの寝起きざまのビアー

 なんせ僕のハワイライフといったら罰が当たりそうなぐらいのダラダラ暮らし……。

 東京では起床とともに、ほとんどそのままのスウェットスタイルで車に乗り込み、自宅からわずか5分足らずのホテル「グランド ハイアット 東京」の「NAGOMI SPA AND FITNESS」で毎日2~3時間汗を流すといったストイックな生活を続けているのに、ハワイに来た途端に、「ナマケモノ」の着ぐるみを着せられたかのごとく、何もしなくなってしまうのです。

 ジムも、わざわざ足を伸ばさなくても自宅プールサイド横にこちらでも相当立派とされる24時間オープンのジムが設置されているにもかかわらず……ちょこっとエレベーターを降りるだけでいいのに、なぜかほとんど行かない。

左:ハワイの自宅プールサイド横にある24時間オープンのジム。
右:ジムのあとはビアーがうまい。

 やはり、ハワイという場所は、僕にとってはまだまだ現実逃避する場所であって、おそらく日本で日常的に行っているルーティンをしたくないんだと思います。

 つまり「暮らすハワイ」とは程遠い……例えば、ハワイでの朝イチの楽しみであります「非日常的な罪悪感にまみれながらの寝起きざまのビアー」なんかがその典型とも言えますが、情けない話、まだまだ日頃できないことをしたいといった、超お上りさん的な発想が頭のどこかに残っている証拠であろうと思われるわけです(苦笑)。

 今回はそんなダラダラ暮らしの中でも、健康的かつここでしか体験できない非日常的なミーハーアクティビティの話を軽くしてみましょう……。

 ひとつはやはりハワイのシンボル的存在、「ダイヤモンドヘッド」のトレッキングであります!!

 人によって差はあると思いますが、速くても遅くても気軽に1時間半から2時間もあれば、まぁ余裕で往復できる感じです。が、怠惰な生活をおくる僕には、体力的にも時間的にも、なんかロスな気がして、だいぶ昔から「わざわざあんな高いところまで歩いて登ったところで、ただ疲れるだけでオアフの景色もたいして興味ないし、パワースポットって言ったって、近くから眺めているだけでもパワーは十二分にいただけるし……」と、まったくといっていいほど興味が薄いものでありました。

ハワイのシンボル的存在「ダイヤモンドヘッド」。

 あともうひとつ登りたくない理由がありまして……。

 思い出したくない「ダイヤモンドヘッド リレー未遂事件」。

 昔々、だいぶ先輩の某有名熱血俳優の方とハワイでご一緒した時に、まぁこの方がアクティブというかヤンチャというか、とにかくじっとしてられないお方で、僕がビーチで熟睡してるのに、「カズ! 起きろ! 相撲とろう~」とか、「あっち向いてホイで負けたほうがアイス買ってこよう~」とか、幼稚な提案ばかりしてくるもんだから、バカンスで付き合うこちらとしてはまぁなんせゆっくりできない(苦笑)。

 挙げ句の果てに、こっちが気持ち良くビーチで寝ている時に大声で叫び出したのが、「よ~し、今からダイヤモンドヘッド登ろう! 今すぐ行こう」という発言……。

 一応拒絶はしてみたものの、あまりの天然な強引さに負けてしまい、渋々僕の車で向かうことになったんですが、運が良かったのか悪かったのか、これまたその日に限ってたまたま何かのメンテナンスをやっていて、なんと登山ができないといった事態に。

 「超ラッキー!」と心の中で叫びながらも、内心を悟られないように「あ~、残念でしたねぇ~。登りたかったなぁ」と嘘偽りを吐きながら、帰路の方向に車の向きを変え始めた僕に対し、彼が言い出したのはなんと、「おお~そ~かぁ!! じゃあ、みんな~車を降りろ~! せっかく来たんだから、これからみんなでクレーターリレーをやるぞ~! リレーだ、リレー~!」

 さすがに開いた口がふさがらなくなった僕らは、「す、す、すみません。お、お、お先に帰らせていただきます」と、彼と奥さんだけをその場に置いて一目散に逃げ帰ってしまったという「ダイヤモンドヘッド リレー未遂事件」というのがあったのです。

2016.02.26(金)
文・撮影=小川カズ