毎年いち早く春の知らせが届く伊豆半島へ、花を愛で、春風を感じる旅に出かけてみませんか? 季節の花を巡り愛でる、名付けて「伊豆花遍路」。まずめざすのは、東京から新幹線で約45分、伊豆半島の付け根に位置する熱海へ。

 坪内逍遙、谷崎潤一郎、太宰治といった、文豪たちが愛した街としても広く知られるブンガクの街、熱海の「伊豆花遍路」の楽しみ方をご案内しましょう。

 今回は、山海の幸に恵まれ、文豪に愛された街ならではのグルメスポットを紹介します。

◆三松鮨

おまかせメニュー 2,600円(9貫+巻物、お椀、デザート)。地魚の握り(左からイトヨリダイ、アカイカ、アジ)には、店主ならではの細やかな“仕事(味の工夫)”が施されている。

 赤酢の香りがほのかに感じられる、小振りの握りがおいしい鮨店。地魚のおまかせメニューを頼むと、手頃な値段で熱海の春の味覚が味わえます。先代から続く地元密着型の店で、谷崎潤一郎の家族も贔屓にしていたとか。現在は3代目店主が腕を振るい、先代を慕った客とのつながりだけでなく、若い人が気軽に通える店として人気を集めています。

三松鮨
所在地 静岡県熱海市銀座町4-6
電話番号 0557-81-3022
営業時間 12:00~13:45、17:00~22:30
定休日 木曜

◆カフェ ド シュマン

手前は金目鯛のポアレ2,970円、右奥が魚介のキッシュ950円。

 元来は子供服店でしたが、1979年にその一部を喫茶店として開店。当時、外からのアプローチが小路(chemin/シュマン)のようだったことが店名の由来です。その後、子供服店と喫茶店を合わせてレストランとしてリニューアルしたのが1995年。伊藤シェフ就任後、気取りのないフレンチ食堂として評判となり、現在はシェフ厳選の素材を活かした、地元に根ざした魚介類や肉類の食事がメインに。コロッケやキッシュのような家庭料理にも、上品な創意が感じとれます。

店内奥は広く、表通りから受けるカフェのイメージとは違い本格レストランの風格が漂う。

カフェ ド シュマン
所在地 静岡県熱海市銀座町1-22
電話番号 0557-81-2079
営業時間 レストラン 11:30~14:30(L.O.)、17:30~20:30(L.O.)/カフェ 10:30~20:30
定休日 水曜

◆カフェレストラン Nagisa

2階テラス席からは熱海の海が一望。相模湾を走る船の音も聞こえてくる。

 1947年の創業以来、コーヒー豆は宮内庁ご用達のものを使用。1階と2階に分かれていて、2階のテラス席では海を眺めながらランチやお茶、スイーツを楽しめます。人気メニューのオムライスは卵のとろりとした食感が絶妙。中は魚介の香りがするトマト味のライスで、うまみの引き立った甘さが心地好いです。花火大会やボートレースの季節には貸し切りになることもあるので、事前にチェックして。

おすすめのオムライスは、たっぷりのふわとろ卵にトマトソースの優しい味。サラダ、スープ付きで1,180円。

カフェレストラン Nagisa
所在地 静岡県熱海市渚町10-5
電話番号 0557-81-4771(1F)/0557-81-8001(2F)
営業時間 9:00~17:00(1F)/11:30~21:00(2F)
定休日 火曜(祝日の場合は営業)
URL http://www4.tokai.or.jp/nagisa/

◆MON

左:オリーブオイルと合わせた香り豊かな桜海老と大葉のパスタ1,620円は食べごたえ十分!
右:この店に来たらまず食べて欲しい、人気メニューのシーフードピザ(レギュラー)1,728円。

 厳選された小麦粉とフレッシュバターを使用して店内で練り上げる、パイのような食感の四角いピザが人気のイタリアンレストラン。新鮮な魚介類を使ったシェフおすすめのその日のメニューは、店先の黒板に手書きで掲げられます。地元の素材を活かした料理は種類も豊富で、内装は家庭的な雰囲気。地元民だけでなく、旅行や出張のたびに訪れる首都圏のリピーターも少なくないとか。

MON
所在地 静岡県熱海市渚町7-15
電話番号 0557-81-2212
営業時間 11:30~21:00(14:00~17:00は準備中)
定休日 月曜日(祝日の場合は営業、翌日休)

2016.01.22(金)
取材・文=多田洋一
撮影=釜谷洋史