Magnificent View #622
景福宮(韓国)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 景福宮は1395年に創建された李氏朝鮮の正宮。朝鮮を建国した李成桂が、首都を開京(現在の開城)から漢陽(現在のソウル)に移転した際に、建てたものだ。

 広大な敷地内には、正門の「光化門」や、正殿として公式な国家儀式や宴会が催された「勤政殿」、国王の生活の場であった「康寧殿」、美しい庭園などがある。

 この優美な建物には、苦難の歴史がある。1910年から35年間続いた日本統治時代には、敷地内に朝鮮総督府が置かれ、王宮内にあった多くの殿閣が破壊されてしまった。現在、かつての姿を取り戻すべく、復元工事が進行中。完全にその事業が終わるのは2025年の予定だという。

 もちろん、復元工事中も見どころは満載。広場では1日3回、ご覧のような王宮守門将交代儀式を実演。王宮で門の開閉や警備などを担っていた守門軍の儀式を再現したもので、華やかな宮廷文化を体験することができる。儀式の後は毎回、部隊がソウル都心を練り歩く巡察パレードも行われ、これを目当てに訪れる観光客も多いのだとか。

 背後に白岳山が聳えるロケーションは、風水学に基づいたもの。景福宮という名前には、「万年も輝く大きな福を示す宮殿」という意味があり、近年はソウル屈指のパワースポットとも言われている。

Column

今日の絶景

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2015.06.14(日)
文=芹澤和美