海を眺めながら爽快にラマ島の山を歩く

 香港トレッキングの旅で最後に訪れたのは、香港島の南西にあるラマ島。平地よりも山の部分が多く、緊急車両を除く自動車と4階建て以上の建物が禁止されているこの島では、潮騒を聞き、海を眺めながら山を歩くことができる。

漁船が浮かぶ素朴な島の港。

 セントラルからフェリーで約20分、島北西部の榕樹湾に向かい、そこからトレイルコースに沿って中央部の索罟湾まで歩き、索罟湾の港からフェリーで香港島に戻るのが、一般的なラマ島トレッキングのルートだ。ここラマ島は、香港在住欧米人に人気があり、ビジネスマンやアーティストも暮らしている。到着した榕樹湾には、西洋風の雑貨店やカフェ、アイリッシュバーなどが並び、ちょっとしたリゾートの雰囲気があった。

高い建物もなければ、車も通らない。島の暮らしは、実にのんびり。

 バナナ畑や、庭にココナッツの木が茂る素朴な民家、バンヤンツリーの大木などを通りすぎ、約30分で洪聖爺海灘というビーチに到着する。ここでしばらく、海を眺めながら休憩。トレッキングの途中にビーチでひと休みできるなんて、日本ではなかなか味わえない贅沢だ。

洪聖爺海灘でしばし休憩。近くには水やお菓子を売る売店もある。

 ビーチから先は、1時間ほどのハイキングコース。眼下に美しい入り江を眺めながらアップダウンのある道を進んでいく。ところどころに休憩用の東屋もあるので、休みを入れながらマイペースでのんびりと。やがて左手に素朴な海鮮料理店が連なる港が見えてきたら、そこがゴールの索罟湾だ。歩いた後はお腹も空くし、喉も渇く。レストランのテラス席で新鮮なシーフードとビールを満喫して香港島に帰るのも、ラマ島トレッキングの醍醐味かもしれない。

スタート地点の榕樹湾に比べると、ローカルな雰囲気が強い索罟湾。トレッキングの疲れを癒すのにぴったりの場所だ。

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn

Column

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2015.04.21(火)
文・撮影=芹澤和美