【WOMAN】
タイトルにこめられた意味が不穏すぎ。展開に目が離せない
恋愛に温度差はつきものだ。ましてW不倫の場合、そのギャップを埋めるのは、普通の恋愛の何倍も難しい。
会いたい気持ちは本当でも、家庭を壊してまで関係を続けたい男はまずいない。一方、本気になってもつらいだけとわかっているのに、割り切ることができる女は多くない。関係の重さに対して無自覚な光軌と思い詰めていく美都。よくあるW不倫の構図そのままに物語は進む。〈やばいのは 最初から承知でしょうが〉という相手に言えないドロドロを美都はひた隠すしかなく、光軌にはみじんも見せていない。だが、サバサバ、納得ずく風に振る舞っているからこそ、真剣さの違いは歴然だ。その温度差がどんな波乱を生むか、2巻ではますます緊張感がアップ。
2組の夫婦は、各人各様で結婚に対して不遜で高をくくったところがある。ねじれていくのも道理というか、結婚の絆のもろさを実感させる“あるある感”が満載なのだ。
『あなたのことはそれほど』(既刊2巻) いくえみ綾
渡辺(旧姓・三好)美都は、初恋の相手・有島光軌と偶然再会し、すぐに男女の仲になる。互いに結婚していることを知りながら、関係を続ける二人だが、ほどなく美都の夫・涼太は妻の浮気に気づく。光軌の妻・麗華も夫の変化を感じ取っている。泥沼化するW不倫の行方は。
祥伝社 各933円
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Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2014.09.18(木)
文=三浦天紗子