トム フォード氏が
旅先でインスパイアされた香り

シックで落ち着いた雰囲気のショップ
建築を学んだトム フォード氏のこだわりが満載。阪急うめだ本店、伊勢丹新宿店、松屋銀座屋で展開中。

 さらに、好きな香りを重ねづけする「レイヤリング」という使い方ができるのがポイント。2種類、3種類と組み合わせることでニュアンスが変わり、新しい香りが生まれる。重ねる順番や何回シュッとするかでも変わるから楽しみ方は無限に広がるというけ。最上級の原料を使っているからこそ叶う技だけど、これぞラグジュアリー。薬瓶をイメージしたというボトルも並べるとチェスのようで本当に美しい。

 現在18種類のコレクションは、そのほとんどがトム フォード氏が旅したお気に入りの土地や印象を受けたものからインスパイアされた香り。たとえば、“ネロリ・ポルトフィーノ”はイタリア・リビエラ地方のポルトフィーノをイメージした爽やかなネロリの香りで男性にも人気。8月にはアマルフィとコスタ アジューラ(紺碧の海岸)をテーマにした新しい香りが加わり、“地中海トリオ”に。ほかにも世界的にヒットしているスパイシーフローラルの“ジャスミン ルージュ”、ネットで話題の“タバコ・バニラ”や甘酸っぱい梅の香りの“プラム ジャポネ”など、ユニークな香りがいろいろ見つかる。

 香りのおしゃれって好きな人はめちゃめちゃハマるけど、「プンプン匂うから」、「すぐ飽きちゃう」とか言って興味を持たない人も結構多い。香りの選び方やつけ方の問題が大きいと思うのだけれど……。

「フレグランスは最も素早く、魅力的に自己表現をできる効果的な方法のひとつ。目に見えないものだけれど記憶に残るものであり、人を惹きつけ、誘惑するもの。フレグランスによって、彼や彼女はあなたに近づかずにはいられなくなり、もっとあなたのことを知りたいと思うに違いない」

 トム様のお言葉、まったく同意! 毎日服をコーディネートするように香りも気分やシーンに合わせて着替えられたら最高。トム フォード ビューティの“プライベート ブレンド”、絶対にチェックである。

トム フォード
1990年よりグッチ グループでウェア デザイナー、クリエイティブ ディレクターとして数々の実績を挙げ、モード界の第一線で活躍。2005年に自身のブランド、“トム フォード”、06年に“トム フォード ビューティ”を設立。映画監督やイベントのプロデュース、チャリティ活動など幅広い分野で注目を集める。

吉田昌佐美
キャリア35年の美容ジャーナリスト。新旧の名品やブランドの歴史を知りつくし、研究員からの信頼も厚い。CREAで長年にわたりナビゲーターを務めた連載「ブランド力調査隊」が今回からパワーアップ。確かな分析力と取材力でブランドの「強み」を解説します。コスメ好きはCREA WEB連載「吉田昌佐美の“早出し”ビューティ裏ばなし」も要チェック。

 

Column

吉田昌佐美のブランド魂発見!

鋭い視点からの取材力と情報の蓄積に定評を持つキャリア35年の重鎮美容ジャーナリストが、コスメブランドそれぞれの「強み」を解説。さまざまな逸品ビューティアイテムに込められた「魂」に迫ります。

2014.07.30(水)
文=吉田昌佐美
撮影=塚田直寛

CREA 2014年8月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

夏の京都でできること。

CREA 2014年8月号

食べて、寝て、遊ぶ!
夏の京都でできること。

定価780円